ブルームーン (ページ9)

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9話ページ9

「ここでいいわ、ありがとう」
「家まで送る」
「いいのよここで、貴方に家を知られたら押しかけられるかもしれないもの」
「まだ根に持ってるのか」
「当たり前よ、それじゃあね」

｢A」
「何？」
「いや、なんでもない。おやすみ」

変な赤井
いつもはハッキリものを言うくせに口篭るなんて

車から降り涼しい風で頭を冷やしながら家へ向かう
見上げれば明るくてそういえば今日は満月だったのかと眩さに目を細める。月明かりなんて太陽に比べれば、目を細めるほどの明るさではないはずなのに、汚れきった私にはとても…

｢早く帰らなくちゃ｣

眩しさに耐えられなくなり逃げるようにして足早に帰路を急いだ

彼女が車を降りたあと、せめて姿が見えなくなるまでとサイドミラーで見ていた

なぜ、彼女の上に乗るなんてことをしたのか自分でもよくわからない。ハニートラップなんて組織に入っている以上やっていたっておかしくはないのに。
調子が狂う

昔からずっとそうだ
Aと出会ったばかりの頃、彼女に敵対視されていることは丸わかりで、彼女の反応を見て楽しんでいた。しかしいつからか、目が離せなくなっていた
俺は恋愛をしているティーンズか？
馬鹿馬鹿しい、何より俺は恋人がいる

髪をかきあげ、彼女の姿が見えなくなったのを確認しアクセルを踏む

ああ、今日は満月か
しばらく寝ることは出来なさそうだから、月を眺めながらゆっくり帰ることにしよう