【アイナナ】八乙女楽の妹は超がつくほどの人見知り【十龍之介】 (ページ5)

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※嘔吐表現があります。
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『…ｯ…はぁ…』

…気持ち悪い。もう二回も吐いてしまった。
薬を飲もうとすると吐き気がして、飲むことすら出来ない。今も、そうだ。

「Aちゃん、顔色悪いけど…大丈夫?」

『……あ、…大丈夫…です………』

迷惑をかけたくなくてそう答えた途端、吐き気が襲う。その場にしゃがみこんで、吐くのを我慢しようと口元を抑える。
でも、………

『…ｯか…は……ぅ……ｯぇ…』

ﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬと音を立てて透明な液体は床に落ちた｡幸い、胃の中は空っぽだったおかげで嘔吐特有の臭いが広がることは無かった。

「Aちゃん…⁉」

嗚呼、彼の目の前で吐いてしまった。どうしてもそれだけは避けたかった…ｯ…。

酷い罪悪感が襲うと同時に吐き気が強まり、液体が吐き出されでﾊﾞｼｬｯと強い音を立てながら床へと飛び散る。それでも収まってはくれず、流れるように床へと飛び散っていく。

『ｯうぁ…つ、なし、さん、ごめん、なさ…ｯ…』

「大丈夫だよ!…俺が早く気づいていれば…ｯ…」

違う…ｯ…。そう否定したいのに体はいうことをきいてくれない。もう迷惑なんてかけたくなかったのに、どうして過ちを犯してしまうのだろう。

『(…ｯ…ごめん、なさい…)』

今の自分にはその言葉しか思い浮かばなかった。

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