【アイナナ】八乙女楽の妹は超がつくほどの人見知り【十龍之介】 (ページ34)

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※嘔吐表現あり。

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こんな偶然はあるのだろうか。思いもしなかったことに天は溜息をつくと、ベッドで横になっている二人に視線を向けた。

「兄妹揃って風邪を引くってどういうことなの。」

「ぁー、んなの…知らねぇよ…けほｯ｣

二人とも重症で、天と龍之介が来る前に一回吐いてしまっていた。しかし龍之介は午後から仕事が入っているため看病する人は天、只々一人だ。

『ﾋｯｸﾞｯ…、うｯ…』

「ほら、洗面器。…大丈夫、ゆっくりでいいから。」

Aの背中を擦りながら洗面器を持たせると、こぽｯと水音が鳴り、ほんの数秒後に透明な液体が吐き出された。

それを見てしまった楽は吐き気がこみ上げてしまいベッドから降りてふらつきながらもトイレへと向かって行くのだった。

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症状が少し収まってきたのは龍之介が仕事から戻ってきて約一時間が経った頃だった。朝から二人の看病をしていた天は疲れ切っていた。

「Aちゃん、楽。今はどんな感じ?」

「…だいぶ…けほｯ、。」

『………………少し、…楽にな…、た…』

喋る気力がほぼゼロに近かったためそれ以上は何も言わなかった。

それから二日後。兄妹揃って完治したものの、天には何もなかったが、自分達の風邪が龍之介"だけ"に移ったのは言うまでもない。

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