あしたは

必殺技 ページ49

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スペクターが指をさしたその先には

今にもこぼれ落ちそうなくらい涙をうかべるアレックス




突然過ぎて、気持ちがついていけず、私ポカンとしていたが

アレックスは大きな右手で自分の目を覆って号泣してしまった



ﾀﾞﾆｴﾙ「アレックス....よかったな」


ｽﾍﾟｸﾀｰ「オレたちまで嬉しいよ」



そんなアレックスを見てダニエルとスペクターもつられて号泣してしまった




大の大人の3人が目の前でわんわん泣いていたから、私の涙はどっかに飛んでいってしまった



【Aが元気でいてくれて嬉しいよ】

『ありがとう。私も父親に会えて嬉しい』








このことを一応会社に伝えたが特に気にさせることはなかった









『ちょっとスケジュールの相談を聞いて？』

【どうした？ベイビー】


アレックスは仕事に私情を持ち込みがちで、私の仕事に甘々だ


ﾀﾞﾆｴﾙ「ん？JAPANツアーの話し？」

ｽﾍﾟｸﾀｰ「それがどうしたんだ」



『この会場だけ1週間も借りるのはなんで？』






私が唯一Nissyマネージャーので残してきた仕事








『札幌ドームこの2日間だけでいいから譲りたい別の日本アーティストがいるの』


【ベイビー、それはいくらAの頼みでもできないよ】


『どうして？』

ﾀﾞﾆｴﾙ「札幌は優子さんの生まれ故郷だろ？」

ｽﾍﾟｸﾀｰ「優子さんに見てもらうことがアレックスの夢だったんだ」


【優子の予定が合う日が分からないから多めにしたんだよ】

『じゃあ....』

【現実的にその必要はなくなったけど、Aが譲りたいアーティストってどこの誰？】


『日本の私が以前マネージャーを担当したNissyって言って、ダンスも歌も素晴らしいアーティストなの』


【で、Aはそいつが好きなのか？】

『え？』

【個人的な気持ちでバンドのスケジュールを変更することはできない】


ﾀﾞﾆｴﾙ(今まで散々振り回してきたやつが何言ってんだ？笑)

ｽﾍﾟｸﾀｰ(Nissyってやつに嫉妬してるんだろ)





2人はやれやれとアイコンタクトをとっているが

アレックスだけはそう簡単に説得できなさそう



それなら、必殺技だしちゃおうかな







『そうだよね、わかった。今回は諦めることにする』


『アレックス、ダニエルとスペクターも突然ごめんなさい。もうこんなこと二度と言わないから、どうか許して』






泣け！わたし！

ドアを閉める時に振り返って....



『少し頭を冷やしてくるわ』









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