君が俺を忘れても【ユーリ!!!on ICE】 (ページ12)

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11話ページ12

ヴィクトルside

『あなたは誰ですか？』

ずっと探してやっと見つけたAに言われた言葉。

その言葉に返せずにいると、勇利に別の部屋に連れて行かれる。

部屋に入ると、勇利は話し始めた。

「ヴィクトルはAと、どういう関係なの？」

そう聞かれて、俺は14歳の時の大切な出来事を話した。

Aと出会った時のこと。

恋に落ちたこと。

必ず会いに行くと約束したこと。

「そっか……それで、Aを探していたって言ってたんだね。
……ヴィクトル。Aはロシアに行った帰りに事故にあって家族を失ったんだ。
その、ショックで事故より前の記憶が無いんだ。だから、無理に思い出させようとしないで……」

……俺の知らない間に、そんなことがあったのか……

しばらく声が出なかった。

Aが俺のことを覚えていない理由は、わかった。

だけど、Aはどうして笑わないんだ？

俺の大好きなあの、笑顔はどこに行ってしまったんだ……？

この際だから、勇利に聞いてみよう。

「勇利、なぜAは笑わないんだ？」

「僕が昔、Aに聞いたら自分だけが生き残ったのに、自分だけ幸せになんてならないから笑えないって言っていたんだ。
だから、中学生の時は全く笑わなくて、学校でもいじめられていたんだ……
でも、高校生になって友達ができて少し笑うようになったよ。」

ああ、俺が知らないうちにAはそんなにも大変なことを経験していたんだね……

「そうか……Aとは今日、初めて会ったことにするよ」

今度は俺が待つよ＿＿＿__

君が俺を思い出してくれることを信じて＿＿＿__