23:どうすればいいの？ ページ23
*
重い足取りで帰社すると、なんだかフロアが湧いていて
「あ、Aおかえり」
「ただいま」
「今ﾄﾞﾝﾍも帰って来たとこよ。無事本契約交わして来たって」
「………そう」
「なんか言ってあげれば？」
「いいよ。それよりあたし資料忘れて取りに来たただけだから帰る」
「あ、ちょっとA！」
あたしを呼ぶハナの声が思いの外大きくて
みんなに囲まれてたﾄﾞﾝﾍが私に気づいた
「ヌナ！」
急いでフロアを後にしてエレベーターのボタンを押した
こんな時に限って遅く感じる数字を見上げて、どうか間に合ってと願った
「ヌナ、待って！」
あと少し、というところで、開いたドアに身体を滑り込ませて「閉」のボタンを必死で押した
ドアが閉まる寸前
僅かに見えたﾄﾞﾝﾍの顔が悲しげで
それだけで胸が痛くなった
でも……
ﾄﾞﾝﾍは否定しなかった
それだけでもうあたしには十分で
ﾄﾞﾝﾍが何を言おうが、その事実は変えられない
言い訳とか、これ以上の嘘とか、聞きたくなかった
こんな風にして避け続けて
ﾄﾞﾝﾍはﾄﾞﾝﾍで契約してますます忙しくなって
毎日にように来ていた電話もメールもやがて来なくなった
「あんたさぁ、いい加減子供じみたことやめたら？」
「なによ、それ」
「なにってわかってるでしょ？ﾄﾞﾝﾍの事それだけあからさまに避けて
Aらしくない。みんなもやりにくいじゃないよ」
「別に…」
「今はﾄﾞﾝﾍも忙しくて大変だからゆっくり話も出来ないだろうけど
ちゃんと話聞いてあげたら？」
「なにを聞くって言うのよ…」
「いや、だから…あたしはﾄﾞﾝﾍがそんなことするとは思えなくて」
「もうﾄﾞﾝﾍの話はしたくないの、いいからほっといて」
わかってるよ、こんなの子供みたいだってこと
だけど…あたしだってどうすればいいかわからないの
「あの」
ふと見ると、廊下から遠慮がちにこちらを覗く2人の男性
「はい」
「◯◯Aさん…ですよね」
「ええ、そうですけど…」
「突然すみません、ちょっとお話がしたくて」
「あたし、帰るから」
「あ、ハナ！」
困惑するあたしを残して、ハナはさっさと帰ってしまって
広いフロアには……
あたしの他にニコッと笑うと歯茎が印象的でスタイリッシュな男性と
その横に、どこか投げやりな視線をあたしに投げる長身の男性だけが残された
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1048人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくらこ(プロフ) - 彩さん» 彩さん、ありがとうございます( ´ ▽ ` )ﾉこれからもよろしくお願いします♪ (2014年11月24日 21時) (
レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ゆいさん» ゆいさん、ありがとうございます♪引き続きよろしくお願いします( ´ ▽ ` )ﾉ (2014年11月24日 21時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 読めました。更新楽しみにしています。 (2014年11月24日 21時) (レス) id: a4dd4acfd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 見れました！ 本当、続きが読めて嬉しいです！ (2014年11月24日 19時) (レス) id: 6061a04eaa (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - 彩さん» 彩さん、新しいお話読めてますか？編集中だったのでパスワードをかけさせてもらってました。言葉足らずですいませんでしたm(._.)m (2014年11月24日 17時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくらこ
| 作者ホームページ：http://id41.fm-p.jp/390/cherryhae15/
作成日時：2014年9月24日 19時
