05：方向音痴はつらいよ ページ6
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四月某日。
烏野高校男子バレー部は連取試合のために青葉城西高校の体育館へと向かっていたーー
はずだった。
『まさかの迷子なう？』
日向がバスに忘れ物をしたというので、彼らには先に行ってもらい取りに戻ったらこのザマである。
菅原さんがなんか心配そうな目で見てきたのは私が迷子になることを予想していたからか……！くそ…！
なんて心の中で地団駄を踏んでいても仕方がないので、とりあえずその辺にいる対戦相手のバレー部部員であろう人に声をかけてみよう。
『あの、』
「？なんで……ってあれ、もしかしなくとも烏野高校の」
『そうです、選手の忘れ物取りに戻ったら迷子になっちゃって』
「なるほど、体育館の場所教えてあげればいいのね。俺も今から行くところだったしついておいで」
『ご迷惑おかけしてすみません………』
そう私が言うと、彼はいいよいいよ、気にしないで。と小さく笑いながら言う。
「俺、青葉城西三年の花巻貴大。お前は？」
『え、っと、烏野高校二年の佐野Aです』
「いいな〜そっちにはマネージャいんのか」
『そっちにはいないんですか？』
「ああ、ほら、うちにはあいつの取り巻きがいるからさ。入部してほしくても入部させてあげられなくて。…っと、烏野の人たちが変な目で見てくるんで俺はこの辺で」
変な目で……？と思いながら後ろを振り返る、と。
そこには何故か怖い顔をしていた三年と二年、そして心配そうにこちらを見つめる一年生。
『ウワ………』
早く戻らなければいけないのに戻りたくないこの感情にしばらく葛藤した。
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(おいAなんもされなかったか！？)
(エッべつになんもされませんでしたけど)
(戻るのが遅かったからみんな心配してたんだよ)
(あわよくば探しに行こうかと思ってた)
(……うちの先輩は本当に過保護だな)
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