episode27 ページ5
「Aちゃん、大丈夫かい!?」
「ええ、大丈夫です…」
あの後、奇声を上げたおじさんは奥の部屋へ連れて行かれた。
あたしはというと、新堂さんに氷を貸してもらい、叩かれた頬を冷やしていた。
「しばらくお休みしておいて。
俺はさっきの人と話してくるから」
新堂さんはそう言って出て行った。
………あれは…あの人は、間違いなく【中毒者】。
そして、あれとは…多分“妖庵嬬”。
やはり、妖庵嬬はこの店と繋がりがあったのね。
こんなに早く情報をつかめるなんて大手柄。
「報告、しなきゃね」
あたしはぽつりと呟いた。
誰も聞いちゃいないと思い込んで──────。
───────────────────────
*夜*
あたしはケータイの電話帳を開き、上司の電話番号を探していた。
途中に「ドSバカ」の表示に目が止まったが、首を振って別の人を探した。
「あ、あった」
あたしのケータイの画面には「トシ」の文字。
迷うことなく通話ボタンを押し、耳にケータイをくっつける。
少しの間の機械音のあと、『もしもし、』という低い声が響いた。
「もしもし、トシ?
…久しぶり」
『おう、久しぶりだな。
どうした?…なんか動きでもあったか?』
久しぶりに聞く変わらぬトシの声に安堵しながら続ける。
「うん。
実はね、今日あたし店のお客さんに襲われたの」
『はぁ!?
え、それ、どっちの意味で…』
「いや、フツーに。
顔を叩かれまくったぐらい」
『そ、そうか…。
で、それがどうかしたのか?』
いや、心配しろよ。
「うん…その人、なんだか様子がおかしくて。
あれをよこせって異常に叫びまくって…」
『なるほど…
つまり、妖庵嬬の中毒者が現れたと?』
「恐らくね…」
『そうか…
わかった。じゃあ、もう少し様子を見てくれ。
わかってると思うが無理はするなよ』
「うん。
あと…このこと、総悟には言わないで」
『は?
総悟?』
「うん。
総悟、昔っからあたしがケガおわされたりすると、
キレて止められなくなるから…」
『……そうだったな。
わかった、黙っとく』
「うん、ありがと」
ぷつりと電話を切り、あたしは息をつく。
明日から忙しくなりそうだ。
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ヒイラギ - すごい面白かったです!これからもがんばってください!!! (2015年12月21日 11時) (レス) id: ce91f20f04 (このIDを非表示/違反報告)
やまゆき(プロフ) - みーたんさん» 喜んで待っています! (2015年8月28日 3時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ(プロフ) - みーたんさん» もちろん覗きますよ((キラッ殴 これからも更新頑張って下さい! (2015年8月27日 17時) (レス) id: cce99eaa43 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん(プロフ) - ちーずさん» ありがとうございました!シチュエーションリクエストありがとうございます!!遊園地ネタですね!了解しました! (2015年8月27日 14時) (レス) id: 77d9f0bf73 (このIDを非表示/違反報告)
ちーず(プロフ) - 完結おめでとうです!!ドキドキしまくりでしたっ!番外編楽しみにしてますね!!こんなシチュエーションが見てみたい・・・ってのなんですが、夢主ちゃんがナンパされそうで、総悟が助けに行ったり、遊園地とかお化け屋敷とか二人で行くのとか見たいです! (2015年8月27日 14時) (レス) id: 64cd32f392 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーたん | 作成日時:2015年7月15日 20時