15）隠された才能 ページ16
「何を話していたの？」
引き吊った表情をする太宰に首を傾げるA
「何でもないわ、私の妹分を宜しくねってお願いしてたの」
「？そう。作之助、治、そろそろ時間だから行くわよ」
「あぁ、わかった」
「はいはーい」
珈琲を飲みきり、立ち上がる
「お邪魔しました」
「またいらしてね。Aも、何かあったらすぐに言うのよ？」
「わかってます」
よしよしと頭を撫でる双子に、恥ずかしげに顔を反らすA
「・・・Aさん、可愛い・・・」
「あぁ、可愛いな」
「そこ、お黙り」
「ふふっ、仲良しさんね」
私たちはまだ、知らなかった
Aさんが、どうしてこれ程慕われているのか
どうして、私達を引き受ける事が出来たのか
それが人柄だけではない事を知るのは、すぐだった
ーーーーーーーーーーーーーーー
ある日、太宰と織田で外回りをしていた時だった
「最年少幹部と言われた手前が、下っ端の仕事をしているなんざ、泣かせるじゃねぇか」
「ゲッ！なんで君がここにいるんだい・・・」
「・・・中原幹部・・・」
Aと約束した時間までに探偵社に戻らないとならない為、路地裏を通って近道しようとした二人
そこにいたのは、太宰のかつての相棒
「わー、なんか黒くて小さい蛞蝓が喋ってるよー」
「小さい言うな！！青鯖！！」
「・・・・・・俺達を殺しに来ましたか、中原幹部」
「・・・・ポートマフィアで裏切りは厳禁、五大幹部であった手前なら、裏切者がどうなるかは言われるまでもねぇだろうよ」
「・・・・・・・・・・・・」
時間になっても来ない二人に痺れを切らし、探しに出ていたA
「・・・まったく・・・しばらくは騒ぎを起こさず大人しくしてなさいっと言っているのに」
視線の先には、探していた太宰と織田
そして、黒を纏った青年
「まぁ、これも私の仕事か」
コツンッと足音をたて、背を向けている彼に近付く
「「あ」」
「あ？」
トンッと何かがぶつかる感触に目を向ければ、赤い宝石色の瞳と目が合う
「っ、は・・・！？」
中原は驚愕し、飛び退ける
「な、なんだ手前は！？いつから横に！？」
「Aさん！！お迎えに来てくれたんですか！？」
「貴方達が時間になっても帰ってこないから捜索隊が出されたのよ、このお馬鹿」
スパーンッ！！と軽快な音が響いた
「いったああぁい！！！なんで私だけ！！？」
「「日頃の行い」」
「酷い！！織田作まで酷いよ！！？」
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作者名：水琴 | 作成日時：2019年4月16日 7時
