106)羽王戦争・生きてた若頭 ページ10
「どういう、事ですか・・・?俺・・・悪い夢でも見てるんですか・・・?カシラは、殺しても死なないタイプの妖怪ですか・・・」
「悪夢でも幽霊でも妖怪でもあらへんわ」
―――――――――――――――――――――――
手榴弾の爆発が起きる数秒前
目の前に突然現れた女性
「折角、うちの可愛い妹が助けた命、無駄死にしたらあかんやろ」
見覚えのあるプラチナブロンドの髪、笑み、濃い赤い宝石のような瞳
「・・・・雪子・・・お嬢ちゃん・・・?」
その腕に抱き締められ、2人は爆炎に包まれた
そして、気が付いたら見知らぬ場所にいた
「ここは・・・」
「あ、起きたん?」
ひょこ、と顔を出す
「・・・雪子、お嬢ちゃんやな・・・大きくなったなぁ」
「あれから何年たったと思ってますの?そら大きくもなるわぁ」
ベッドに寝かされる大嶽の側の椅子に座る雪子
「・・・・・・そうか・・・俺は・・・死ねなかったんか・・・」
「天王寺組の大嶽徳史はあそこで死んだで。そういう事になっとる」
「?」
雪子の言う事がわからなかった
すると、雪子は笑みを消した
「雛ちゃんがあんたを生かしたのは、あそこで死を選ばさせる為やないで」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
爆炎に包まれる寸前に言われた言葉
「・・・せやけど、俺にはこれしかケジメをつける方法が思い浮かばんかった・・・それに、こんなにも若いもんを死なせた俺に生きる資格なんかある訳ないやろ」
「・・・・・生きる事は、誰かが決める事やない」
「え?」
「生きる事は、この世に生きるものに平等に与えられた権利や。死ぬべき、とか、死んで当然とか、そんなもん関係あらへん。生きる為に生まれてきたんやから、みんな天寿を全うせんとならんのや」
自分よりも若い少女
なのに、彼女の言葉は重かった
まるで、自分よりも数倍を生きているかのようで
「せやけど・・・俺は・・・」
「・・・・・・・せやなぁ・・・ただ生きろっていうのも酷なもんやもんなぁ。じゃあ、うちの頼み聞いてや」
「?」
すると、部屋の扉がノックされる
「ねぇ様、飲み物は・・・って」
開いた扉から顔を出した少女に目を見開く
「目が覚めたんですね!よかったぁ!少し焦げてたから心配してたんですよ!」
「お嬢ちゃん?」
自分や舎弟達を救った、小峠 Aだった
「雛ちゃん、白湯くれるか?あとうちにお茶」
「はいなぁ」
出ていくAを見送り、ここがどこなのか理解した
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かな - メアリー、スーヒロイン? (4月10日 23時) (レス) id: 6ea7610922 (このIDを非表示/違反報告)
りー(プロフ) - 続き楽しみです! (4月1日 7時) (レス) id: 54a38d0a40 (このIDを非表示/違反報告)
青魔道士 - 宝石色の白虎の方も読みたいです! (3月1日 13時) (レス) id: 9d0898b86e (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 続きを楽しみにしてます! (2月8日 17時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 続編おめでとうございます (1月17日 8時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水琴 | 作成日時:2024年1月16日 23時