54)地獄耳な剣士と天羽組と夏祭り�� ページ8
小走りで屋台の裏側を進んでいく
賑やかな祭りの会場から外れ、雑木林へ
そして、見えた人影
細長い袋を振るう男と、それを取り囲む集団
男の側には探していた男の子
Aは袂から何かを取り出し
「子供を抱えて、屈んでいただけます？」
小さく囁く
「！！」
男は咄嗟に男の子を抱え込み、地面に伏せた
その瞬間、何かが風を切る音がして
「なんっ！！？」「ふっ！！？」「んごっ！？」
短い悲鳴の後、しんっと静まり返る
「な、なんや・・・・」
「リクくん」
「お姉ちゃん！！！」
男の子はAを見て、すぐに駆け出し、抱きついた
「おねえちゃあぁぁん！！！うわぁーん！！」
「あらあら、遅くなってごめんなさいね、怪我はありませんか？」
膝をつき、涙を拭う
「っうん、お兄ちゃんが助けてくれた」
「あんたは」
警戒が宿る目に、Aは微笑む
「この子を助けて下さってありがとうございます、この子のお友達からいなくなってしまったと聞いて探していたんです」
「そうか・・・良かったなぁ、坊主」
「うん！でも、さっきの人たちどこに」
男の子が上を見ようとすると、Aはスッと羽織っていた羽織を男の子の頭からかける
「さぁ、みんなが心配しています。行きましょう」
「？うん！」
Aは男の子と手を繋ぎ、男を見て、お店の名刺を差し出す
「私は小峠 Aと申します。空龍街で食事処を営んでいます。宜しければ食べにいらしてください」
「！これは」
その店と名前には覚えがあった
「・・・・あれ、どうするんや」
男は上を指す
「“後片付け”は“にぃ様方”の仕事ですから。どうぞ放っておいて構いませんよ」
「さようか・・・あんた、俺の事知っていてここに来たんか」
本来は聞こえない筈の小さな声で囁かれた言葉
Aはただ、にっこり、と笑うだけだった
―――――――――――――――――――――――――
迷子センターに行けば、子供たちと、母親たちが待っていた
事情を説明し、Aは屋台に戻った
「雛ちゃんっ！！」
「雛姉さんっ！！やっと戻ってきたっ！！心配したんですよー！！」
「ごめんなさい、南雲の兄様、北岡さん」
南雲はAの肩を掴み、ふぅー、と息を吐き、真剣な眼差しでAを見る
「君が強いのはわかっているけど、何かあって、君が傷つくのは嫌なんだ・・・頼むから、1人でやろうとしないでくれ・・・」
「・・・ごめんなさい、南雲の兄様」
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かな - 雛さんはメアリー.スーヒロインですね。欠点無さそう。 (12月31日 20時) (
レス) id: 6ea7610922 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 三毛猫の正体は文ストキャラの夏目漱石ですか？ (11月22日 21時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 続編おめでとうございます。 (11月21日 13時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水琴 | 作成日時：2023年11月20日 23時
