82)年末年始の兄と妹 ページ36
12月31日 大晦日の【月菊】
「ただいま」
ガラッと戸を開ける
「あ、お帰りなさーい」
帰ってきた華太は店内を見て、お？と見る
「A、今日はあいつらいないのか？」
「トラくんとジロくんの事？2人とも忙しいみたいだからお蕎麦セットだけお届けしてきたよ」
「あー、紅林も定職についたんだったか？」
「そ！学校の先生！凄いよねぇ！」
「熱血教師だな・・・」
京極組も今は喧嘩中で気が抜けないらしい
「あの2人がいなくても、犬がいるかと思ったが」
華太は背広を脱ぎ、奥の畳の部屋の壁にかける
「丈一郎が・・・」
〔お兄ちゃんが帰ってくるんなら、折角の年末年始2人で一緒に過ごしたらえぇよ。俺らは自分で出来るから気にせんで〕
「って」
「ほぉー」
カウンターに座れば、お冷やとおしぼりが出てくる
「なら、久しぶりに兄妹でゆっくり過ごせそうだな」
「ふふっ、いつも誰かかしらいたものね。今お蕎麦茹でてくるね、何乗せるー？」
「んー、かき揚げかな」
「はいなぁ」
言って出てくるんだから、我が妹ながら凄いと思う
恒例の手打ちそば、出汁から作ったつゆ
水に溶いた天ぷら粉に玉葱、ゴボウ、ニンジン、三つ葉、エビを入れ、小さめのフライパンで油を入れて、熱する
お玉で一杯入れて軽く火を通すのに広げる
少しずつ纏めてフライパンいっぱいに広げ、大きなかき揚げを作り上げる
「はぁーい、お待たせしましたー、かき揚げそばです」
「相変わらずかき揚げでかいな」
器に蓋のように乗っかるかき揚げ
揚げたてのそれはサクサク、つゆが染みてふにゃふにゃになっても美味い
「美味いなぁ」
「ふふっ」
Aは華太の好きなお酒を置いて、自分の分の蕎麦を用意して食べ始める
「今年も色々ありましたねぇ」
「あっという間の一年だったな・・・・お前も、色々あったな・・・」
華太はAの左手を取り、掌を指で撫でる
そこには痛々しい傷があった所
「もう治りましたよ、綺麗でしょ」
「あぁ、けど、お前に傷を負わせちまった」
「にぃ様はいなかったもの、仕方ないでしょ？」
「けど、嫌なんだ。お前が傷つくのは」
「・・・私も、嫌ですよ・・・にぃ様が傷つくのは」
「ごめんな・・・でも、前みたいな怪我はしない。約束する」
「はい」
2人は盃を重ねた
「あ、おつまみに何か食べる？」
「あぁ、いいな」
台所に行く妹を見送り、ふっと外へ意識が向く
「(見られている・・・雛は・・・多分気付いてはいるな)」
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かな - 雛さんはメアリー.スーヒロインですね。欠点無さそう。 (12月31日 20時) (
レス) id: 6ea7610922 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 三毛猫の正体は文ストキャラの夏目漱石ですか？ (11月22日 21時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 続編おめでとうございます。 (11月21日 13時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水琴 | 作成日時：2023年11月20日 23時
