65）澤崎酒造 ページ19
空龍街にある【澤崎酒造】
誰もに愛される酒蔵で凄惨な事件が起きた事をAが知ったのは、翌日だった
「まぁ・・・火事が・・・」
昨夜の騒ぎを調べに行った智也が報告する
「どうやらガラの悪いホームレスの仕業のようです。店主のご夫婦は酒樽で死亡、跡取りの息子も大怪我で入院しているようです」
「ただの事件ではなさそうだね・・・」
「調べますか」
「そうだね、いちお調べて貰おうかな」
「承知致しました」
智也は霧に消える
Aはお酒を置いている棚から一つの酒瓶を取り出す
「澤崎のお酒・・・貴重になってしまいますね」
あ、と何かを思い出して、電話を手にする
―――――――――――――――――――――――
それから数週間後
Aは空龍街のドヤ街に訪れた
幼い頃からお世話になっていた人を見つける
「おじぃちゃーん！」
番傘を差し、手を大きく振るA
「おぉ！雛嬢ちゃん！相変わらずめんこいなぁ」
ドヤ街の長老はニコニコとAを迎える
「おじぃちゃん、元気？これ！おにぎりとスープ、はまおじぃちゃんの所にたくさん置いてきたから食べに行ってね。お酒と煙草も持ってきたけど、程々にね？」
「いつもありがとな、雛嬢ちゃん。みんなには伝えておくよ。それで、話していた若いもんじゃが」
歩き出す長老についていくA
「ほれ、あそこじゃ」
「うん、間違いない。ありがとう、おじぃちゃん」
「何、嬢ちゃんにはいつも美味い飯をもらったりと世話になっておるからのぅ、また何かあったら聞いておくれ」
立ち去る長老を見送り、Aは振り返る
「ご機嫌よう」
そして、座り込んでいた彼に近付いた
彼は顔を上げ、目を見開いた
「え・・・貴女は、A、さん？」
困ったように微笑むA
「皆さんが心配してましたよ、貴浩さん」
それは騒ぎになっていた酒蔵の跡取り、澤崎 貴浩だった
「ご飯は食べれそうですか？スープを持ってきました」
スープマグの蓋を開け、フォークを入れて澤崎に渡した
「貴女がどうしてここに」
スープマグを受け取る澤崎は隣に腰を下ろすAを見つめる
「私、時々ここで炊き出しをしてまして、ここの長老さんに大怪我をした若者がいるから話を聞いてやってくれって頼まれまして」
優しく微笑むAに、荒れていた心が少しだけ穏やかになる気がした
「良かったらお話して頂けませんか？力になれると思います」
「Aさん・・・」
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かな - 雛さんはメアリー.スーヒロインですね。欠点無さそう。 (12月31日 20時) (
レス) id: 6ea7610922 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 三毛猫の正体は文ストキャラの夏目漱石ですか？ (11月22日 21時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 続編おめでとうございます。 (11月21日 13時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水琴 | 作成日時：2023年11月20日 23時
