43）極道の兄とメロンパン屋と時々双子の姉 ページ13
天羽組の中堅極道、小峠 華太は久しぶりの休みが取れた
特に用はないので、妹のAに電話をして手伝う事はあるか聞くと
「にぃ様お休みなの？じゃあ私も休む！にぃ様！最近美味しいメロンパンのお店が出来たんですって！連れてって！」
相変わらず気紛れな妹よ
今日店のご飯を楽しみにしていたであろう常連達には心で謝る
いつもの白いスーツではなく、ラフな茶色のズボンにグレーのTシャツ、上から紺色のカジュアルなジャケットを羽織り、アパートを出た
「(この陽射しなら、日傘を差していれば大丈夫か・・・午後から強くなるようならタクシーで帰ろう)」
紫外線に弱い妹の体を考えながら、のんびり歩いて【月菊】に行けば、いつもの自作の和洋折衷の衣装を纏った妹を見つけた
白いブラウスにプリーツの黒いスカート、その上からパーカーのようにフードがついた緑の羽織り、合わせた番傘を差して店の前のベンチに座っていた
「A」
「にぃ様」
駆け寄ってきたAの頭を撫でる
「今日は陽射しが弱いから歩こうか」
「本当？やったー」
いつもどんなに近くても車移動が常のA
嬉しそうに兄の腕に抱きつき、歩き始める
一見、カップルのような姿だが、この空龍街で知らぬ者はほとんどいない有名な兄妹の姿は微笑ましく見られていた
「それで、そのメロンパン屋はどこにあるんだ」
「お客さんが教えてくれたのは貴凜町の公園のキッチンカーだって」
「まぁ、ぶらついてれば見つかるか・・・疲れたら言えよ」
「はぁーい」
お互いに一人でいれば必ず何かと話しかけられるが、今日は誰も話しかけてこない
華太に話しかけようとする女性は一緒にいるAの前では自信を失くすし
Aに話しかけようとする男性は華太に睨まれて近付けないのだから
おかげで平和に貴凜町の公園にたどり着いた
「あ！にぃ様！あれかな？」
「【うりゅうのメロンパン】、あれだろうな」
キッチンカーに近付けば、猫のような女性が気付く
「いらっしゃいませー！美味しいメロンパンはいかがですかー？」
「すみません、メロンパンを２つ下さい」
「毎度様でーす！メロンパン２つー！」
「はいよ！って・・・」
中から顔を見せたのは、緑色の髪の、右目に傷を持つ体格の良い男だった
男はAを見て、身を乗り出した
「あの時の嬢ちゃん！！」
「ふにゅ？」
「なんだ、その声・・・知り合いか？」
こてん、と首を傾げるA
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黄昏 - 妹ちゃん、格好いい!!GetBackers -奪還屋-に出てくる風鳥院花月みたいです。 (2022年7月12日 2時) (
レス) @page9 id: 7ec4680236 (このIDを非表示/違反報告)
朔間 四季(プロフ) - 最高です！！最後の姉さんとおやっさんの部分は面白くて吹き出してしまいました！！ (2022年7月10日 20時) (レス) @page6 id: 3b4222ad58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水琴 | 作成日時：2022年7月9日 1時
