君を追いかけて (ページ5)

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ダッシュで校門をくぐり、階段を駆け上り、ドアが邪魔だと言わんばかりの勢いでドアを開けるとそこには
いつも通りイヤホンを着け、長い髪を下ろし、お気に入りの小説を読み、うちの学校の制服を着て、きっと成績も良いであろう少女―――夏海がいつもの席に座っていた。
私がドアを開けた音に驚いたのか少し目を見開きイヤホンを片耳はずしてこっちを向いた。
そしていつも通りの笑顔でいつも通りに挨拶をした。
自分の席に鞄を置き、そっと夏海の肩に恐る恐る手を置いてみた。
私の手は夏海の肩を通りすぎ―――ることはなく、しっかりとした感覚と共に夏海の肩に留まった。

これは夏海が生きているというただ１つの事実だ。
しかし私はどうも信じられない。
タイムトラベルなんてこんなありきたりな学校に通う、ありきたりな成績の、ありきたりな学生に起こり得ないはずだ。
まだ半信半疑だから夏海にも聞いてみた。
「ねえ、今日って何日？」
夏海も平然と彼女が亡くなった日から２週間前の日付を答えた。
信じられない、と眉を潜めて少し俯くと夏海は
「今日なんかおかしいよ？変なものでも食べた？」
とクスクス笑った。

あり得ない。がしかし、本当に２週間前に戻ったらしい。