君はそっと、俺の記憶を塗り替えた (ページ39)

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「…うわ、懐かし」

「ん？」

「これ。入社式に貰った記念品のボールペン」

「そんなんもらえんだ？笑」

「うん笑まぁ俺もう捨てたけど」

ナチュラルな家具で統一されたシンプルな部屋

電車の音が時折聞こえるこの部屋は…

「…なんかさ、アイツらしい部屋だな」

「まぁね。俺の部屋とは大違い」

「徹の部屋は暗すぎんだよ」

「うるせぇよ」

いきなり届いた訃報

それは唯一の生き残りだった同期美澄Aの死を知らせた

"出張に行ってくる"

そう、別部署の俺に告げて消えた半年前

俺は何も疑うことなく、信じて帰りを待っていた

…まさか彼女が病気を理由に退職していたとは知らずに。

「しっかしまぁ…片付けってどうしたらいいわけ？」

「引越しじゃねぇし、分別して捨てればいんじゃね」

「…なら全部要らないっしょ」

「お前適当すぎ。Aのお袋さんに怒られんぞ」

「大体さぁ、俺らに頼むのが間違いなんだよ」

「つべこべ言わずにやれ！笑」

泣き腫らした目で無理やり笑う徹を横目で見て

とりあえず捨てても良さそうなものを片っ端から袋に打ち込む

「…俺、クローゼットやるわ」

「うわ、やーらし」

「ばっ！！ちげぇよ！！」

徹にからかわれながら、アイツに背を向けて

…窓からも背を向けて掃除をし始めた

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