君はそっと、俺の記憶を塗り替えた (ページ37)

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ーーいつも通りの朝

でも、いつも通りじゃない朝

「…あっ」

気がつけば少しだけ遠回りなこの道を歩いていた

"ーーおはよ！徹！"

なんて言う、あの笑顔に会えるこの道を。

綺麗な花が咲くあの家に近づいてきた頃

「ーーじゃあいってきます！！」

「はーい！気をつけてね！」

聞き慣れた、愛しい人の声が聞こえた

その状況に立ち尽くしていると、隣街にある高校の制服を身につけた彼女がこちらに歩いてきた

…もしかしたら。

もしかしたら昨日までは夢だったかも知れないと思った数秒間

「ーー……」

…あれはやっぱり現実で。

綺麗な髪を靡かせた彼女は、俺に気づくことなく隣を通り過ぎた

振り返ってみても、視線は交わることなく

カタカタとローファーを鳴らして彼女は遠ざかっていった

「…徹はよー」

「……はよ」

そして歩き始めた俺の隣にやってきた自転車

一部始終を見ていたはずなのに、何も彼は言ってこない

「…いーんだよ。俺たちが忘れなければそれで」

めんはただそれだけ言って、俺の隣を黙って歩いていた

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