君はそっと、俺の記憶を塗り替えた (ページ31)

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「…そんなん、ただの言い訳やろ」

「……」

「逃げてるだけやん」

「…逃げてなんか…！！」

「逃げてるやん。もう消えてまうねんから行きゃあええやん」

「…」

「失うものなんて今のお前にあるんか？ないやろ」

真面目な顔をした想太が私の心に問いかける

短い間しか一緒にいないけれど、彼の言葉には凄く重みがあって。

…わかってる。逃げてるだけだって

でも、あんな怖い顔をした徹にはもう会いたくなくて

「俺はな、お前がこのまま後悔背負いながら死なせたくないんやって！！」

「それは想太がそんな仕事だからでしょう？！だか「違うっ！！！！全然ちゃうよ！！」」

「…俺もっ……俺もお前と同じやから！！

何も出来ないまま死んでっ！！今もずっと謝りたいやつに謝れてないねん！！
だからお前だけは後悔せずにいて欲しいんやって！！」

彼は正直者だと言った

だからきっとこの話は本当で

自分を重ね合わせて私を見ているんだろう

「…もう…

明日にはもう消えてまうねんから。
後悔せずにちゃんとさよなら言いや？
さよならが言えるってな…めちゃくちゃ幸せな事やで」

それだけ言い残し、想太は何処かに消えていった

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