君はそっと、俺の記憶を塗り替えた (ページ4)

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「A？ご飯だよ」

「はーい」

二階の窓から眺める街はオレンジ色に輝いていた

そんな景色を隠すように淡い黄色のカーテンを閉めて部屋を出た

「今日はAが好きな夏野菜カレーよ」

「…ほんと？わーい！大好き！！」

「またかー…Aは本当に夏野菜カレー好きだな」

…嫌いだよ、なんて言葉を隠して口に運んだカレー

口に広がる風味を消すように流し込んだ麦茶

17歳の身体に入り込んだ未来の私

好きなものも

趣味嗜好も

何もかも違くなったこの身体で

「…とーる」

貴方と過ごしたい夏があるの。

後悔を消すように

タブーだと言われてもおかしくない

記録を塗り替えるように、夢に描いた日々を送りたくて飛び込んだ過去の時間

「…美味しい！」

「本当にお前はよく食べるな笑」

「だってお母さんのご飯美味しいもん」

「あら、ありがとう」

一つ、また一つと過去(しろ)を未来の私(くろ)で塗りつぶしていった

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