君はそっと、俺の記憶を塗り替えた (ページ16)

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「岩岡と付き合ってるの？！」

「え、っと」

「どっちから告ったの？」

「どこが好きなの？」

「いつから？」

「どこまで進んだ？」

1答えれば5質問が飛び交う教室の隅

どうしていいか分からずに苦笑いしていると

頭を教科書でバシッと叩かれた

「いったいなぁ！！」

「宿題見せて」

「え、やだ」

「早くみーせーろ」

後ろを振り返れば、珍しく眼鏡をかけた大輝がノートを持って立っていて

彼なりにこの空気から助けてくれたんだなと察した

勉強するからどけ！と女子を一喝し、徹の席に大輝は座った

「…何まじで付き合っちゃってんの」

「えっ？」

「俺ぼっちじゃん」

「あー…じゃあ大輝も彼女作ればいいじゃん」

「ばーか。俺はお前らみたいにぱっと付き合ったりしねぇの！なんなら片想い上等だわ」

「振られてるだけじゃなく…ったい！！痛いよ！！叩く事ないじゃん！」

「馬鹿な事いうお前が悪い」

「素直って言って」

「はぁ？お前さ、ワガママ言って秒で振られんなよ？」

「徹は優しいもん！大輝と違って」

「はいはい言ってろ言ってろ。喧嘩したーって泣きつくなよ」

「喧嘩しませーん」

「今は、だろ？…サンキュ。写せた」

「はーい。ちゃんと宿題してきなよ」

「分かってますけど。」

"ーー幸せにしてもらえよ"

そう言った大輝の声は周りにかき消され

私の耳には届かなかった

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