君はそっと、俺の記憶を塗り替えた (ページ13)

今日:7 hit、昨日:8 hit、合計:10,729 hit

13 ページ13

.

「ーー頑張れー！！！！」

太陽が照らすサッカーグラウンド

白いユニフォームを纏った徹がボールを操りながら走っていた

黄色い声が飛び交う応援席

必勝と書かれたお守りを握りしめ、私は彼から目を離さぬように声を出し続けた

「…弁当ありがとう。まじで美味かった」

「ほんと？足りた？」

「足りた。だから午後も頑張れた」

「よかった」

ジャージに着替えた徹と肩を並べて歩く道は風の匂いも違って

何もかもがキラキラして見える

「…なぁA」

「ん？」

「今日、さ」

隣を歩いていたはずの徹が視界から消えた

あれ？と三歩進んだ場所から後ろを振り返る

「勝ったら絶対言おうと思ってて」

「…うん」

「あの…」

「…うん」

「…好き、なんだよね」

「……」

「一目惚れ？っていうかー…まぁ、そんな感じで。…あ、別に返事と「ーー私も」…へ？」

「…好きだよ、徹が。出会った頃からずっと」

「え？あー…え、まじか」

ありがとう、と抱きしめられた

その背中にそっと手を回し、私は彼の温かさを確かめた

"一目惚れってまじであんだね。俺…お前の事好きだわ、やっぱり"

"…振られるのわかってるけど…言いたかった。ごめん"

私はまた一つ、こうして未来を塗り替えた

.