11 ページ11
.
「…ん、うんまっ!」
「ん?…あーー!!また大輝が私のお弁当盗んだ!」
「盗んでねぇ!貰ったの!」
「いいよって言ってない!」
「あー、はいはい!喧嘩しないの」
教室の窓際
3人で食べるお昼ご飯
自分で作ったお弁当を食べる私と
コンビニで買ったお弁当を頬張る徹と大輝
ガヤガヤ賑わう周りに負けないくらい騒ぐ私と大輝を
宥める役目はいつだって徹だった
「徹食った?こいつが作った卵焼き」
「俺お前じゃねぇからくわねぇよ笑」
「まじ美味いよ。食ってみ?」
「いや何その自分のあげるみたいなやつ」
「そうだよ!大輝のじゃない!」
「お前のは俺のものだから!」
「はぁ?意味わかんない!…あ、徹食べるなら食べていいよ」
「はぁ?!」
「え、いいの?」
「いいよ」
なんで俺はダメなんだよ!なんて吠える大輝を無視して、赤いお弁当箱を徹に差し出す
徹はからあげに指していたピックを見つけ、それを卵焼きに刺して器用に口に運んだ
「…ん!!うんまぁ」
「だろ?」
「めちゃくちゃ美味い!」
照れるくらいに褒められ、私は顔を赤くした
…いつだって徹は私を過剰なくらい褒めてくれるね
「今度さ、サッカーの試合あんだけど弁当作ってよ」
「えっ?」
「え、だめ?」
「いやっ…だっ、ダメじゃない!!でもそれ…休みの日でしょ?」
「うん。来週の日曜日…空いてる?」
「空いてる!空いてるよ!」
「じゃあ弁当持って試合見に来てよ」
「…うん」
形に残らない思い出が、また一つ私に刻まれていく
.
26人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:aaako | 作成日時:2020年3月8日 15時