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「…んで、ここが音楽室で」
昼飯を食べ終わり、水澄さんを引き連れてやってきた旧校舎
新校舎とは違い、シーンとした雰囲気漂う廊下に響く2人の足音
「…暑いね」
「え?あー…うん」
「タオル使う?いいよ」
暑さで垂れる汗をワイシャツで拭えば
目の前に綺麗な水色のハンカチが差し出される
「…あ、まだ使ってないから大丈夫だよ」
「え?あ、いやそれで遠慮してるわけじゃ」
「ん?あー…ごめん、気持ち悪いね」
「え?いや違う違う!!」
とてもいい香りがするそのハンカチを握り
遠慮がちに汗を拭けば彼女はニコッと笑った
「岩岡くんは何月生まれ?」
「…6月だけど」
「そうなんだ!私はね、1月だよ」
「そ、っか」
「1月1日。1年の始まりの日」
「へぇー…」
「好きな食べ物は?」
「ラーメンかなー…あ、でも蕎麦もめっちゃ好き」
「麺が好き?」
「うん。そっちは?」
「んー…カレー!でも夏野菜カレーは嫌い」
「はぁ?笑 なにそれ」
「お肉と人参とジャガイモと玉ねぎだけのカレーが好き」
話題に困ることなく回った旧校舎
少しだけひんやりするこの場所で始まった俺と水澄Aの1年半は
不思議な思い出ばかりが増えていった
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作者名:aaako | 作成日時:2020年3月8日 15時