君はそっと、俺の記憶を塗り替えた (ページ1)

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「ーーあっっつ」

高校2年の夏

蝉が鳴いて、太陽が天に昇り俺たちを照り付ける今日

俺たちのクラスに転校生が来た

「東京の学校から来ました。水澄Aです」

教卓に手をつく、声がデカい担任の隣に立つのは

「よろしくお願いします」

肌が白く透き通り、少し茶色い髪を靡かせた女の子だった

「ーーおか、岩岡！！」

「っ、あ、はい！」

「水澄、岩岡の隣の席な。岩岡はお昼休みに校内を案内してやれよ」

「あ、はーい」

男だけではない、女子の目でさえも惹きつけてしまうほどの儚さ

「よろしくね、岩岡くん」

綺麗な口から紡がれる自分の名前は、なぜか耳にこびりついてなかなか消えなかった

「よかったなぁ徹！！あんっっな美人と一緒に校内回れるなんて！」

「別に校内案内するだけだし」

「んなぁ冷めてんなぁ！俺に代われよ！」

「日高校内覚えてないじゃん」

「げっ…」

1番仲が良い友達にそうからかわれた休憩時間

それが明ければ始まる現国の授業

ノートとペンしか机に出さない彼女に

俺は前を見ながら声をかけた

「…机、くっつけていいよ」

「えっ？」

「教科書。ないっしょ？ほら、一緒に見よ」

「…ありがとう、岩岡くん」

…ほら、なんだか心がくすぐったい

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