確率たった2%の恋の話

12 ページ12

.
side yuki





ーー半年で人は変われるらしい


寮近くのスーパーに行き、まずは生活するのに必要な雑貨を揃える

全てがイタリア語でまっっったくわからない

しかし彼女は人にイタリア語で尋ねながら

あっという間にお目当ての売り場へと進んでいく





「…やばっ」

「ん？」

「イタリア語…話せんの？」

「あぁ笑 単語だけちょっとね。さすがに会話はまだ無理だけど
チームメイトに英語が得意な子が居て助けてもらってるの」

「友達出来たんだ」

「うん！一緒に海に行った子！」




…うわ、思い出した。

そうだ俺こいつに言いたかったんだ




「あのさ、俺幼馴染とはいえ男なんだからあんな写真やめろよ！！」

「写真？」

「みっ…水着の！」

「…あー！！笑…え？ダメなの？祐希なのに？」

「ダメ！！男に送んなバカ！…シャンプーどれ？」

「はいはい笑シャンプーここらへん」

「どれ使ってんの？」

「これかな？…あ、これは祐希嫌いな香りだから危険だよ笑」

「まじか…なら一緒でいいや。あと洗濯のやつは？」




文句をいいつつ、彼女と全く同じ洗剤を買う

お金はチームからもらっているし心配しないで適当に購入

そして両手が塞がった状態で寮へとAを案内する




「どう？イタリアは」

「…強い！笑」

「知ってるわ」

「昨日、初めて1試合全部スタメンだったの」

「まじ？初めて？あのAが？」

「ライトにベテランの選手いるからね笑 ピンサーは何回もやったけど…やっぱりスタメンは遠いよ」

「…の割には悔しくなさそうじゃん」

「だって楽しいもん」

「なるほどな」




強いんだ、彼女は

知らない国でも自分を見失わずに前を向いてる




「来年も、再来年もイタリアに居たい」

「まじ？」

「うん。私が目指すもの…ここにあるかも知れないなって」




そう話す彼女の表情は、イタリアの景色にも負けないくらい輝いていた



、

13→←11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す