異国の地で運命に巡り合えた話

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イタリアに来て数週間が経った

相変わらず言葉はわからないし、チームについていくのに必死

朝も夜も外食だからか、身体もなんか調子悪くて。





…ハードな練習が終わり、チームメイトに送ってもらい身体を引きずって家についた

そして明日はオフだと気が抜けた瞬間





「…やっばー…絶対熱あんじゃん」




猛烈なダルさが俺を襲う

誰も知り合いが居ない地での体調不良ほどしんどいものはない


ボーッとする身体で携帯をいじり、とある人に連絡をする





3回くらい呼び出し、ようやく繋がって…




「マサさぁぁん…どーしよ…熱…ちょーしんどい」



どうせ何時だと思ってんだよ、とか言われるんだろうな



"ーー大丈夫？"


「ごめんってー…だって俺誰も………え？」


"祐希くん？大丈夫？聞こえてる？"


「…あ、えっ？Aちゃん？」



画面を見れば、そこには"柳 A"の表示
…やべ、普通に間違えた



"うん。間違えた？"


「ごめっ…先輩にかけたつもりでっ…」


"ふふっ笑…体調大丈夫？食べ物は食べた？"







そんな間違い電話から2時間後





「…お待たせ。無理しない程度に食べてね」

「ありがと…」




俺の部屋。Aちゃんがエプロンをして料理を作ってくれた

いや、作ってきたやつを温め直してくれた。

…感動。

久しぶりに食べた手料理

イタリアなのにどこか日本食を思わせる味付け

涙が出てもおかしくないくらい美味しかった






「…んまい」

「よかった…食べたら横になりなよ？顔がしんどそう」

「ん…ありがとう。来てくれて」

「異国の地で風邪なんてしんどいでしょ？さすがに放っておけないもん笑」

「ちょーしんどい。泣くかと思った」

「よかった。連絡先わかってて」



ポンポン、と頭を撫でられる

すると、鼓動が速くなった気がした





「…早く良くなりますように」




そう俺に呟く彼女の目をなんだか見れなかった





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