コートに舞う天才ペテン師

石柳が知るペテンの始まり ページ47

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"ーーじゃあ見せてくださいよ。全然わかんないっすよ自分は
先輩たち世界と戦ってるんでしょ？ならお手本となるプレイ見せてくださいよ！！"




ーー2015年 8月

味の素ナショナルトレーニングセンターの体育館に響いた若い青年の声

その場にいた誰もが顔を引きつらせた

代表3年目の彼が歯向かったのは、チームを牽引する先輩たちだった



清水「はぁ？」

永野「お前何言ってんのかわかってんのか？」

「わかってますよ」

清水「口答えすんなよ。こっちは世界と戦ってんだよ！何回も！」

福澤「お前なんなの？」

永野「ロシア帰りだかなんだか知らないけどな、楽しいバレーしたいなら出てけ！！
こっちは勝ちにいってんだよ！！真面目にやれよ！！」

「真面目にやってますよ！！結果出してますよ！！」

福澤「輪を乱すなよお前さぁ。まじで」





ベテランに食ってかかる23歳の若きエース

誰も止めなかった。監督でさえも


…わかっていた。この青年は正しいことを言っている、と。



「…輪を作ったって、勝てなきゃ意味ないでしょ」

永野「お前な、従えねぇならロシアでもどこでも帰れ、な？
要らねえよ！お前みたいなやつは！」

鈴木「やめよう、な？意味ないからこんなの」




ーーそんな口答えをした彼のW杯は、控えMBというポジションで始まった

不調陣の交代要員。コートの端、そこから目の前で崩れていく日本をただ見つめるばかりだった


…そんな中、運なのかわからないが巡ってきたチャンス
対アメリカ戦に端末不良でまさかのOPとして出場



"ーーさぁそして出場機会がなかった若きエース！！神がコートにやってきました！！
相手は強豪アメリカ…止められるかっ"

"端末が機能してないですね。彼登録はMBですからね笑"





「ーーっしゃぁぁあああ！！」




"綺麗なブロックポイント！！ポジション変更をして臨んだ初めてのW杯！！
ベテラン勢の陰に隠れた天才は崩れた日本を立て直せるのか"

"深津がいい感じに分散させ始めましたね。石川と柳田と神にトスが満遍なく行き渡ってます"

"次世代を担うNEXT4に選ばれなかった神。柳田とは高校の同級生。コートに立てずに悔しいと昨日は話していました。その神がコートに立ち日本を変えようとしています！"





"…怖かった"

試合後、柳田と石川はそう口にした

目の前で動き続ける赤いユニフォーム
7という文字が世界と戦っているその姿が怖かったと言った



"味方でよかった"


そう、口にした




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