身長差0の甘酸っぱい夫婦の話

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樹貴「…だってもう決めちゃったし」

「いや、相談は？」

樹貴「相談…しても行くのは俺だし」

「いやでもっ…」

樹貴「姉ちゃんは行ったのに、俺はダメなの？」

「…まって？どこに行く気？」

樹貴「何処だっていいじゃん」





愛知 星城高校に在籍し寮生活をする樹貴

束の間の休みを利用して帰ってきたかと思えば

驚く内容をさらっと報告してきた



それは姉よりもタチが悪い、事後報告だった

あとは書類に判を押すだけ…




「どこに行くの？どこに行くにしたってお金はかかるし、親に報告しないと！！」

樹貴「イタリア」

「イタリア？！」

樹貴「うん」

「いや、大学は？国内だってリーグあるでしょ？」

樹貴「いやお母さんには言われたくないし。卒業してすぐロシア行ったじゃん」

「いやそれは…」

樹貴「俺がしたいバレーは日本には無い。世界に行って、海外の選手と戦いたい」

「日本のVリーグにだって海外の選手いるじゃない」

樹貴「じゃあなんでお母さんもお父さんも海外に行ったの？世界に通用する選手になるためだろ？

俺は早くに世界を知りたい。世界で戦える選手になりたい
石川祐希の息子だから、初瀬Aの息子だからって実力もないのに上手い上手いって！聞き飽きたんだよ！！

お母さんならわかるだろ？！
俺はイタリアに行って、正当な評価を受けたいんだよ！！」




普段は物静かな樹貴

揺るがない決意の目に私は折れた




「…ごめんね」

樹貴「なにが？」

「お母さんが一番にわかってあげなきゃ行けなかったのに」

樹貴「…デカイ壁こそ倒し甲斐がある。

俺、望未にもお母さんにも…もちろんお父さんにも負ける気ないから」






それを祐希に伝えると…




石川「あーあ！！誰かさんにそっくり！！」

「私そんなだった？！」

石川「俺忘れてないからな？！オリンピック前にトルコ移籍を報告された事も肩がダメだーって言われた時のことも！！」

「もうそんな事忘れてよ」

石川「てか俺に相談は？！望未も樹貴も俺になんっっも言ってこないけど？！」

「私に言わないでよ…」

石川「…じゃ、俺から報告」

「ん？」

石川「監督にならないか、って」





石川家は考えがぶっ飛んでます





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