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「ーーうわ、あっつ…」




汗をかいているおでこに手を当てれば、掌に伝わる熱

それは俺の掌が冷たいからじゃなくて、彼女が高熱だから感じる熱さ

買ってきた袋から冷えピタを取り出して汗を拭いたおでこに貼り付ける




"…冷たい、望"



薄っすら空いた瞳ではどうやら俺が弟に見えるらしく



「…望、ちゃうけどな」




ちょっとだけ心に傷を負い、まずはご飯を準備

うどんのがええかな?と煮込みうどんを作って

お節介な神ちゃんオカンは掃除もする




「ーーって言っても、綺麗好きやし散らかってへんやん」




掃除機をパパパーっとかけて、水回りを掃除してソファに座る

何もすることがなくなった俺は携帯ゲームを始める





"ーーガタンっ!!!"




「はっ??!」




物音に慌てて部屋まで行けば、Aが床で座っていた




"望、助けて…"

"だるくて…だるくて…"





真っ暗な部屋。

廊下から漏れる光で部屋が開いたのがわかったんやろな…

また、望って。






「…望、ちゃうよ。」

「俺、やで」





なんて、聞こえない君を抱きしめる

汗ばんで身体に張り付くシャツは俺の服を湿らしていく




"…トントン"




抱きしめていた身体を離す




"智洋"

"智洋がいる"




"俺やで?望ちゃうよ"



"…なんで?"



"具合悪いって聞いて、心配で。"

"望は遅なるって"

"俺、おるから"



"智洋が、いてくれるの?"



"おる。側におるから"

"…俺、頼ってや"

"Aのためなら、なんでもしたるから"



"なんでも…?"



"ご飯も作ったで?あーんもしたる"

"ドライヤーもかけたる"

"歩くのが辛いなら、お姫様抱っこしたる"

"なんでもいうてや?"



"智洋は、優しいんだね"




ありがとう、と抱きしめられた

やから俺は優しく包む





しんどいという彼女を宣言通りお姫様抱っこしてテーブルへ移動する

少しだけ温めたうどんを運び、彼女の真横に座ると




「あーん」




短めにきった麺を彼女の口元へと運ぶ

…今日だけは何故か恥ずかしいのか、目を合わせることなく食べたA



"美味しい?"


"…美味しい!!!"



自分で食べる、と言った彼女やけど俺は食べさせたくて。

甘えてほしい、と伝えてようやく頷いてくれた

お風呂に入り、濡れた髪も乾かしてあげた

いない間にシーツも変えた

…Aの為に、やれること全部してあげたくて。




"…1人になりたくない"



いつもより小さい君の手話。

俺は笑顔でその手を握った。

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みこ(プロフ) - まりんさん» こちらも読んでくださってるんですね!ありがとうございます!!!期待に応えられるように頑張ります! (2019年5月18日 23時) (レス) id: c6a330bc5b (このIDを非表示/違反報告)
まりん(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年5月18日 21時) (レス) id: b59f2ee03b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みこ | 作成日時:2019年5月17日 14時

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