第68話 命 ページ19
主「皆様、」
マイクを使っているのか、あの女の声が演練場に響き渡る。私が落ちたことによって起こっていた響めきはしんと静まり返った。
主「先程は驚かれた事でしょう。我が本丸が久方ぶりなる演練を盛り上げようとサプライズ企画を立てておりました」
はぁ"ん"?
このくそ審神者、私を出しに……やってくれるな。
主「我が本丸の見習いはとても手練れ、刀剣男士に劣らぬ程の実力の持ち主でございます。盛り上げる余興として、是非にお楽しみくださいませ!」
あ「……んのアマ」
ブチっと脳の血管が数本切れたような気がしてならない。お楽しみ下さいと言っておきながら自身が楽しんでいるようにしか思えない。
それに……この女の同類が集められているのだろう、うおぉぉおおおお‼と激しい歓声が沸き上がる。
私はちらりと相手を見やる。
見たことも無い服装の前田と五虎退、大太刀から背の低いボーイと太郎さん、太刀から光忠に最高練度だろう三日月宗近。
潰しますよ感半端なく出してる敵に対し、私一人。
ギリっと歯を食いしばり再びくそ女を見上げる。
あの野郎、高みの見物か。
三「見習い!」
本丸の三日月さんが慌てた様子で私を見下ろ……いやお爺ちゃんなにそっから飛び降りようとしてんの⁉石切丸さんが必死に止めてくれてる、有難う御座います!
主「駄目よ三日月」
三「主‼」
主「これは余興なの。見習い一人にさせなければいけない。これは主命よ三日月宗近、手出しは無用」
三「……っっ、」
主命と言われ押し黙るしかなくなった三日月さん。
嬉しいな、そこまで思って貰えているとは嬉しい限り。心が僅かに和んだ矢先、ふと白が自然と目に入る。
鶴「………」
あ「っ!」
奴もまた笑っているものだと思っていた。
しかし、想像を遥か斜め上を上回った。
酷く苦しげな眼差しを向け、何かを堪えるかの様に。……そんな驚き、求めてませんよ。
くるりと身を翻し、斬魄刀へと手をかけると同時に、何かの気配を感じ思わずその気配を掴み取る。
手に触れる感触は刀。
己の命を投げ渡したのは、あの鬼の副長の愛刀だった。
主「和泉守っ、あなた!」
兼「俺を使え‼」
あ「えっ」
兼「あんたと共に戦いたい、俺の命を預けるぜ!」
嗚呼、鬼方に本当にそっくりなんだから。
斬魄刀二本を鞘ごと抜き、彼へと自身の命を投げ渡す。
あ「私の命、預けます‼」
兼「っ!へ、そうこなくっちゃなぁ‼」
この戦い、絶対勝たないとな。
第69話 いっちょやってやろうじゃないか→←第67話 演練開始で見習いピンチ?
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十六夜 - えぇ、鶴丸落ちになりそうなんですが(汗)わたしは、三日月推しです!!! (2018年5月17日 3時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きは、まだでしょうか?早く続きが読みたいです!! (2018年3月30日 11時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うぉぉぉ!!!すごく面白いです!!!今後の展開も楽しみです! (2018年3月6日 22時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
白紫乃(プロフ) - とっても好きなお話です!更新お待ちしております! (2018年2月21日 20時) (レス) id: 43803e668e (このIDを非表示/違反報告)
霜月 - 鶴丸は、夢主が好きなんですね。でも、私としては三日月落ちがいいです!!三日月、大好きです! (2018年1月14日 15時) (レス) id: 51d1ba9355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミコ | 作成日時:2017年8月28日 12時