第28話 兆候 ページ29
見つけやすい場所にいてくれたおかげで、難なく偵察ができた。しかもまだ敵は気付いてすらいない。
だが、油断はできない。何せ私は彼等がどれ程の強さを身につけているのが知らないし、敵がどれ程の強さなのかもわからない。
あ「気をつけて下さいね」
薬「嗚呼。よし、突っ込むぞ‼」
機動が早い短刀四振りは其々二振り一組で組み敵へと向かっていった。遅れて国広刀剣男士が向かって行き、そして兼さん刀剣男士も続けて敵陣へと向かって行った。
……はずなのだが、何故か一歩も動こうとはしない。どうしたのだろうか。
あ「あの?」
兼「なんだ?」
あ「なんだ?ではなく、敵は向こうにいますけど?」
兼「ピンチになれば助けに向かう」
あ「ですがっ、」
兼「今日は短刀の練度上げなんだろ?俺は練度八十はある、彼奴らの為だ。此処は戦場だ、どんな危険が潜んでいるのかわからねぇ。あんたは俺に守られてろ」
私は目をぱちくりとさせつつ、なっ?と笑顔付きで見下して……ごほん、見てくる兼さん刀剣男士を見遣り返した。
……驚いた、駄々を捏ねる五歳児かと思いきやしっかりした面もあったんだなぁ。
兼「おい、何か失礼な事考えてねぇか?」
あ「いえ、何も?」
疑いの目を向けられるも、彼奴らの力を信じよう、と兼さん刀剣男士の言葉にじっと私も彼等を見守る様に、戦う姿を見つめていた。
そして、数十分後には敵に傷を負わされたのだろう軽傷程度の傷で私達の元へと戻ってきた。
国「すみませんっ、少々手間取ってました」
五「強かったですが……頑張りましたっ」
小「僕も……頑張ったよ」
厚「全員倒してきたぜ、見習い」
薬「和泉守がいたから何ともないと思うが……怪我してねぇか?」
兼「お疲れさんなぁお前ら」
其々やりきった感で綻ぶ笑みに私もつられて綻んだ。兼さん刀剣男士は何もしてないけどね。
しかし、怪我を負えど無事だったにも関わらず胸騒ぎがした。……この胸騒ぎ、良くない兆候だ。
すると兼さん刀剣男士は全員を見回すと訝しげな表情になった。
兼「んで、誉は誰だったんだ?」
その言葉に全員、己ではないと首を横に振った。
それを見た兼さん刀剣男士は大きく目を見開く。
兼「……つーことは、まさかっ‼」
嫌な汗を掻き彼は天を仰ぎみる。
彼に倣い私も見上げると、思わず瞠目した。
青空だった空は曇天と化していた。
その雲の拓けた間からは二重丸に似た円が描かれ浮かび立ち、嫌な雰囲気を醸し出していた。
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ミコ(プロフ) - ♂reon♀さん» 本当に何でしょうね?笑笑 当時の自身が如何に語彙力諸々無かったかよく分かりますね。爆笑ものですな (2018年7月4日 13時) (レス) id: 58e7a2fac9 (このIDを非表示/違反報告)
♂reon♀(プロフ) - この世のものとは到底思えないほどの美貌と力ってなんだよwwwwww草wwwwwwwwwwwwwww (2018年7月2日 16時) (レス) id: d13ee7ed1c (このIDを非表示/違反報告)
ミコ(プロフ) - レイガ さん» (見てますよ、漫画全巻揃えてアニメも見ました) (2017年8月29日 13時) (レス) id: d4f16a7607 (このIDを非表示/違反報告)
ミコ(プロフ) - からさん» ありがとうございますっ、頑張りますね^_^ (2017年8月29日 13時) (レス) id: d4f16a7607 (このIDを非表示/違反報告)
レイガ - とてもいいです。(もしかして「裏僕」見てます?) (2017年8月28日 19時) (レス) id: 031079d19f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミコ | 作成日時:2017年6月17日 15時