【刀剣乱舞】任務先は黒本丸の見習い

第13話 新たな刺客 ページ14

刃と鞘がギリギリと音を立て擦れる。
ごめん琴神、こそばゆそうだけど我慢してね。


兼「違うわけねーだろ‼」

あ「っ、だから、違いますって！」


眼の色を変えたと同時に入る力にも変化し思わず驚いた。少し声を荒げたものの、冷静さは忘れてはない。


薬「旦那！俺達は誑かされてなんか、」

兼「待ってろ薬研、俺がっ、助けてやっからよぉ‼」

あ「くっ、」


霊圧を極限に抑えかつ人に近いようにする為に薬を飲んでいる。その状態で刀剣男士の半ば本気の押し力に敵うわけがない。

悪いと思いつつ薬研を横へと飛ばし、私は庭へと飛び退いた。が、休む間も無く襲いかかる刀剣男士の攻撃を防ぐ。


兼「おい、いい加減刀抜けよ」

あ「本丸内の、私闘は、禁止のはず、では？」

兼「仲間を守る為に、私闘もくそもあるか！」

あ「っ…、」


彼のいうことはごもっとも、私も同じ立場なら掟なんぞ置いて彼と同じことをする。
目の前の彼は、とても正義感が強い。


兼「いい加減、抜きやがれ‼」

あ「嫌です‼」


抜くことは、即ち肯定だ。
短刀を誑かしたと認めることに繋がってしまう。


兼「そんなに抜かねぇってんなら……おい国広‼」

国「任せて兼さん！」


彼より短い、にっかりと同じ長さの刀を手に私に斬りかかる。何で新たな厄介もんが出てくるかなぁ⁉
いい加減切れるぞゴラ‼‼


兼・国「「二刀開眼‼」」


必殺技ですかおい。


薬「危ない見習い‼避けろ‼」

あ「薬研、貴方はそこに居なさい」

薬「っおい！」


駆け寄ろうとした薬研を止め、ほんの少しばかり霊圧を上げ襲いかかる彼らの刀を弾き飛ばした。
本当は弾き飛ばすぐらいお手の物なんだけれど……

得物を失った彼等は悔しげな顔をして、私を睨んでいた。


あ「私は短刀を誑かしてなどいません」

兼「へぇ、そう簡単に俺達に嘘が吐けるもんだな」

あ「誰から聞いたんですか」

兼「あ？そりゃ主殿からだ」


あのクソアマどうしてくれようか。
顳顬あたりに筋が立つのが自分でもわかる。


薬「聞いてくれ旦那方、俺達短刀はそこの見習いに誑かされてなんかいないぜ」

国「それってどういう、」

薬「寧ろ大将に見放された俺達を助けてくれた、いわば恩人なんだ」

兼「……うそ、だろ」

あ「だから誑かしてなどいませんと何度も言いましたよね」


薬研本人から言われ己の主の嘘にショックを受けたのか、黙り込む二人。
私は弾き飛ばした二人の刀を取ってはそっと渡した。

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