【刀剣乱舞】任務先は黒本丸の見習い

第1話 出逢い(薬研) ページ2

やっとの思いで、目の前のを倒した。
俺のいる場所は戦場、己自身である本体の刀を振り、敵を倒す。

これで何度目の連続出陣だろうか……
正直、気力も体力も底に近い。


乱「や、薬研……」

薬「っ……、すまねぇ。途中帰還は、無理だ」


大将首を取るまで帰還をするな、資源を集めてくるまで帰還をするな。
そう、主命が下されていた。


部隊長でありながら、情けない。
俺は部隊の仲間を一人ずつ見る。

乱も、小夜も、今剣も、前田も平野も……全員が全身傷だらけの中傷状態。
辛うじて皆んなより練度が高い俺は中傷に近い軽傷。


小「……大丈、夫？」

今「へ、へいきです……まだ、だいじょうぶ、ですよ」


小夜の肩を借りつつ立ち上がる今剣、一番の怪我人は今剣だ。


前「刀装があれば……」

平「薬研兄さん……途中帰還しましょうっ」

薬「駄目だ！」


平野の言葉にどうしようもなく声を荒げた。
俺だって本当は途中帰還して、万全の状態で出陣したい。だが、途中帰還したらどうなるのか、過去に痛過ぎるほど経験してきた。


あんな思いをするなんざ、二度とごめんだ。


薬「主命は必ず果たさなきゃならねぇ……大将首まであと少しだ。……頑張ってくれるか？」


申し訳なさそうに皆んなにいえば、一つ頭を縦に振る。全員が同じ状況下、進めば折れる可能性だってある。


薬「有難な、すまん……」


そう言って足を進ませようとした時、何故かまた時間遡行軍が現れた。


いや、”また”じゃねぇ……
この禍々しい気配、雰囲気……


今「これは……、」

薬「っ⁉皆んな、退がれ‼」


突然の敵に動揺していたのも束の間、敵の薙刀が大きく振りかぶり俺達を攻撃してきた。
退がり避けるように指示したが遅く、全員が攻撃を食らってしまった。


前「今剣！小夜！」


はっとし後ろを見れば、倒れている今剣と小夜。
乱も前田も平野も地に片足を立て立ち上がろうと必死になっていた。そして、俺も……


薬「お前ら……俺が食い止める、如何にかして、逃げろ」

平「そんなことっ、できませんっ」

乱「薬研が折れちゃうよ‼」


俺の前にいる敵は大将、そして最後の敵。
終われば、帰れる。

だが、もう立てる気がしない。

敵の大太刀が俺目掛けて刀を振るう。


嗚呼、折れるのか……


そう覚悟を決めた時、不意に気配がしたと共に大将首が胴から離れた。
敵の背後にいた奴。

全体が黒を思わせる服装に狐の面を被った、




俺達の救いの神。

第2話 任務→←☆設定☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す