KILL OR DIE

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休みをとった水曜日、俺の家から車で10分ほどのたつから近づいたあかんって言われてた人気のない廃墟の集まる地区に着く
たつには仕事って言ったけど
ここにヴァンパイアが集まってんねやろ？
あいつがおるかも知らへん
踏み入れるとなんとなく晴れてるはずやのに空気が重くてくすんでる
わざわざ晴れた日を選んだんやけど漂う不穏な空気に本能が戻れって言ってる

なんとなく身体中に視線を感じる
舐め回すような、商品を見定めるような視線

1人の小柄な男が俺の腕を引っ張り小さなビルの中に連れ込む

やばい
こんな力強いと思わんかった

黒い布を被っていて顔が見えない
俺の腕をしっかりと掴んでいる

左手で俺の腕をしっかりと押さえつけながらもう片方の手で布を取る
大きなつり目、小さな顔、細い身体、美しいとしか言いようのないような顔立ちの男、多分同い年くらい

なんでヴァンパイアってこんな綺麗な顔してんねやろ

猫のような目に惹きつけられていると男がニヤリと笑う

「兄ちゃん、そんなええ匂い振りまきながらこんなとこ歩いてたら襲われるで」

いや、お前が襲う気なんちゃうんかい
俺の首元に鼻を近づけてくんくんと匂いを嗅ぐ

「ほんまに美味しそうやわ」

ぺろりと首筋を舐められる
目が赤く光る

雛「ちょっ」

慌てて手を引くが俺よりだいぶちっちゃいのにびくともせえへん
やっぱたつ連れてくるべきやったか
でもきみ探してるとか言ったら絶対家出してくれへんやろうし

顔を離してさっきまでのからかい混じりの声から冷たい声で言い放つ

「迷い込んだんやったらさっさと帰れ、お前みたいなやつがここにおったら死ぬぞ」

その声に背筋が凍りそうになるが勇気を振り絞って説明する

雛「探してんねん、きみってやつを」

大きな目を細めて胡散臭そうに俺の方を睨みつける

「お前何もんや、ただの人間ちゃうやろ」

雛「え？」

「俺らの正体も知ってるみたいやし、どこできみたかのこと知ってん」

雛「前、しゃべったときに…」

「はぁぁぁ！？、しゃべったってどういうことやねん！？」

いきなり顔を歪めて大きな声を出す

雛「ちょ、手首、痛い」

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