KILL OR DIE

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朝起きて一瞬昨日のことが夢だったんじゃないかと思ってしまう
だってなんも残ってない
でも腕に残る確かな温かみと感触が夢じゃないって教えてくれる

顔を洗ってリビングに行くと朝ごはんが置いてあってたつはテレビを見てる

忠「おはよう」

雛「おはよー、いただきます」

味噌汁をひとくちすする
ヴァンパイアはこうやって朝ごはん食べることもないんやな
人の血ってどんな感じなんやろ
味噌汁みたいな感じなんかな
美味しいんかな

人を殺さないと生きていけないってどんな気持ちなんやろう

もっと冷徹な血なんか通ってないようなやつやと思ってたのに
あの涙はなんやったんやろ
悲しいんかな、寂しいんかな
たつもりゅうも大変なんやろうな
困ってるヴァンパイアなんかいっぱいおるんやろうな

忠「ヒナちゃん」

目の前に頬杖をついて俺の顔をみてるたつがおってビックリする

雛「びっくりしたー」

忠「なんか考え事？」

雛「え、いや、別になんとなく」

忠「もしかしてあのヴァンパイアのこと？」

雛「へ？」

図星を突かれて焦る
なんで分かったんやろ

忠「やっぱそうなんや」

雛「うん…ヴァンパイアって、大変やなと思って」

忠「あんまり感情移入したあかんよ」

なんであかんねやろ
たつだって色々困ることあったはずやのに
たつが俺の前に小指を出す

忠「約束。あんまり踏み込んじゃあかんで」

困ったような優しい笑顔を浮かべてるたつ
なんでそんな顔してんの

雛「分かった、約束する」

忠「指きりげんまん嘘ついたら針千本のーますっ」

雛・忠「指切った」

一緒に歌ってみたらいつも通りのたつの明るい笑顔に戻って安心する

忠「ところで時間いいの？」

たつの見上げた先の時計を見るといつのまにか家出なあかん時間の

雛「うわっ！やばい、ごちそうさま！」

バタバタと着替えて家を飛び出る

雛「行ってくる！」

忠「いってらっしゃーい！」


電車に乗って通勤してる間にもちょっとでも似てる人を見つけるとやっぱりきみのことを考えてしまう
たつが学校でいじめられて泣いてるとこを慰めたこともあるし、りゅうと3人で勉強して休憩って言ってゲームして怒られて笑ったこともあるしヴァンパイアと人間のどこがそんなに違うのか分からへん
ちょっと太陽に弱くて人と食べるものが違うだけやのに

誰よりも分かってる自信があるからなんでたつがあんなことを言ったのかが分からへん

きみだって寂しいはず
みんなで仲良くしたらええねん

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