嫌いな香り ページ29
「…ん、」
目を開けると、真っ白な部屋にいた。そして鼻を刺激する微かな薬品の匂い。
大嫌いな匂い。ここにいるときはろくなことが起こらないから。
よいしょ、と体を起こそうとしたとき。失ったはずの左肩の存在を思い出す。
が、綺麗に治っているではないか。
「あー、」
私、さっきまで宿儺と話してたはず。もしかしたら宿儺が反転術式を…？
「いやいやいや、」
だって、宿儺が私を助ける理由が見当たらない。
まさか本当にただ“楽しませてくれそうだから”という理由で私を助けたのか？
また目覚められたことの安堵と、また呪術師として過ごさなければいけないことに対する諦め。
生きている限り、私が呪いから逃げられることはない。
「Aー。今日も来たよー…？」
「あ、悟くん。」
久し振り、と手を振る。
そういえば私はどれだけの間意識を失っていたのだろう。
今日も、というくらいだから数日は眠っていたはずだ。
んー、と考えていると入口からこちらへ走って来た悟くんはその大きな体で私をぎゅうぎゅう抱き締める。
「ちょ、いた、痛い、」
「お前は、ほんっと、どんだけ心配させたら気が済むんだよ！」
「ごめんね、悟くん。」
「翔大から悠仁もAも出てこないって連絡来て、駆け付けたらお前は倒れてるし悠仁も座り込んでるしで、ほんと、」
口調が、少し乱暴に戻ってる。昔の名残だろう。
いまでこそあんな調子で喋っているけど、私と出会ったばかりのころはもうヤンキーだった。
そのせいか今でも焦ると口調が元に戻るのだ。
悟くんの背をぽんぽん、と叩きながら私は彼が落ち着くのを待った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 625人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
shinox2(プロフ) - 更新ありがとうございます！！ (2021年10月6日 0時) (
レス) @page31 id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - すいません誤字ってしまいました...これからも頑張ってください！ (2021年8月14日 14時) (レス) id: a20e372e06 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - 前回の作品から来ました！めっちゃ続き楽しみです！これからも頑張ってくださ！！応援してます (2021年8月14日 14時) (レス) id: a20e372e06 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：巫女@桜 | 作成日時：2021年8月13日 0時
