ポアロで会いましょう【安室透】2

"バーボン"4 ページ19

「脱いで。」

「…え？」

「あ、いや、違っ…そういう意味じゃなくて…っ、傷を見せて？」
「…」
「どうしても見せられないの？理由があるの？

…私ね。昔少しだけ看護師してたんだ。だから包帯の巻き方とかは今でもまだうまく巻けると思うの。」


私は安室さんの胸元のボタンをひとつずつ外す。

「…っ、見たら…後には引けないぞ」
「…どう…いう…？」

すると、安室さんは残りのボタンを外すと、包帯を取り、血の滲んだ肩を見せてくれた。

…看護師をしてたんだもん、見間違えるはずがない。



銃痕…。



「あ…の、これ…」

「そうだ。銃でやられた。」


「…いつ？」

「1週間前に」

「どうして？」

「…っ」

「…言えないなら…いいよ」

「気にならないのか？」

「気になるよ…気になるに決まってる。でも言えないんでしょ？安室さんの口から聞ける日を待ってる…」




降参だ。そう言って安室さんは、何か話そうとして、

「…実は…」
と言いかけたその時、安室さんの携帯が鳴った。

ちょっとごめん、と電話に出る安室さん。
私には聞こえた。女の人の声が。

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