ポアロで会いましょう【安室透】2

"安室透"2 ページ14

その日の夜




着信…Aさんだ。

今日のことを聞かれるかな…


「もしもし」
『安室さん、今大丈夫ですか？』

「うん、大丈夫。どうしたんです？」

『へへ、声が聴きたくて。暇電、ってやつです』




素直に嬉しくて、ふっと笑みが溢れる。

『今日は…ポアロにいらっしゃいませんでしたね』
「ええ、探偵の仕事をちょっと」

『そうでしたか。だからデパートに…？』

やっぱり気づいていたか。

「ええ、なぜそれを？」
『私も実は今日行ってて。でも忙しそうにされてたから、声をかけずに居たんです』

…この嘘をどこまで続けるんだろう。
「そうでしたか、わかりませんでした。急いでたもので…」


その後も世間話などしてあっという間に30分ほど話込んでしまっていた。
Aさんといると落ち着く。時間を忘れてしまう。

『わっ、もうこんな時間ですね…じゃあ、また…』
「またかけますね」




…ふぅ、

と声が聞けて嬉しかった、のため息なのか。
バレずに済んでよかった、のため息なのか…。



ハロに目を向けると首を傾げる。

安室透としての自分しか、彼女は知らない。

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