ポアロで会いましょう【安室透】2

デート5 ページ2

安室side


Aさんはメニューを開いてどうします？と
言ってこちらに見せてきた。

覗き込むと前髪が触れた。
慌ててメニューを僕の方に押し出して顔真っ赤に伏せてたけど…。恥ずかしいのはAさんだけじゃない。

平然を装って、これとコーヒーにします。
とメニューを差し出した。


その時、手が触れた。
『っわぁあ、すみません…』
さらに顔真っ赤にしてるAさん。
受け取ったメニューで顔隠してるけど。
こんなに意識されちゃ、たまんないな。

思わず拳で口元を隠した。



『私も、決めました。このケーキとコーヒーにしますね』

「お、いいですね、今月のおすすめですね」



注文をしてケーキがくるのを待つ。

その間、Aさんは窓の外を見たり目が泳いでそわそわしてて。

「Aさんは彼氏いるんですか？」
沖矢昴のことが気になって、思い切って聞いてみた。

『いませんよ。好きな人なら居ますけど』
「それって…」

その時ケーキが届いた。


僕が頼んだのはモンブラン、Aさんは苺のミルフィーユ。
『お、美味しそう…！！！』
「食べましょうか」

一口食べたAさんはんん〜！！！と目を輝かせていた。
その笑顔のために来たようなものだから、嬉しくてつい笑ってしまった。

「はははは、本当に美味しそうに食べますね」
『っ…だ、だって本当に美味しいんですもん！食べてみてください！』

Aさんがケーキを一口すくったまま話すので、そのまま「じゃ、ください。」といってあーんと口を開けた。

『…え、え…あの…』
恐る恐る僕の口にケーキを入れるAさん。

「うん！本当だ！」
『で、でしょう…！』

僕にはもう目が合わせられないくらい真っ赤なAさん。ちょっと意地悪しすぎたかな。

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