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犯人は3人とも中村に無事に連行され、盗んだものは全てこちらで徴収した。
一段落して、犯人とAさんの車は牽引されて行った。
「…それにしても。降谷さん!」
大きな声をあげるAさん。
「す、すみません…」
思わず謝る。
「良い判断でした!!蛇行運転だったからスピードも出てないし追突されても大丈夫と見たんですね!」
てっきり車を台無しにしてしまって怒られるかと思った。
「は、はぁ…」
するとAさんは僕の手を見て血相を変えた。
「…!?こ、この怪我…」
どうやら先程の衝撃で左腕が少しだけ切れたようだった。
「ごめんなさい、私の銃弾がうまく当たっていれば…」
そう言って僕の腕を取るAさん。
「?あぁ、いいですよ、こんなのすぐ治りますから」
捕まれた腕を払おうとした。
「ダメです、ちゃんと消毒しないと」
払おうとした腕はAさんにしっかり持たれていて。
小さな両手で僕の腕を握る。
彼女が無事で本当に良かった。
その日はタクシーを呼び、自宅へ帰った。
自宅の玄関を開けるとカレーの匂い。
「作っててよかった…」
「ですね。」
Aさんはソファに僕を座らせ、消毒する。
「すみません、愛車をあんな目にしてしまい…」
「ったく〜本当ですよ!」
床に座って消毒するAさんは僕の腕にあった目線を上げる。
自然と上目遣いになる。
「しばらくは代車ですね…」
真剣に消毒してくれるAさん
最後にテープを丁寧に貼ってくれた。
「…はい」
「ありがとうございます。」
「あまり、怪我しないでください」
貼った腕のテープを優しく撫でながらAさんは呟いた。
「…じゃ、カレー食べましょ」
すっくと立ち上がるAさん。
外を見るともう夕焼けだ。
立ち上がったAさんの腕を、咄嗟に掴んだ。
「…降谷さん?まだ痛みます?」
心配そうに僕の顔を伺うAさん。
そんな彼女を、引き寄せ抱き寄せた。
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作者名:つくね | 作成日時:2023年6月18日 6時