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安室side
僕の顔を見て店長の顔色が変わった。
「そ、そんな…あの探偵兄ちゃんか…」
「まさか11年も前の被害届を財布にまだ入れてるなんてびっくりしましたよ」
「…っ、命まで奪おうだなんて思ってなかったんだ…」
「きっと店長も良心の呵責があったんでしょう。だから今も手元に置いてたんですね。それに…
あの両親の子供がAさんなのは、もちろんご存知ですよね?」
店長は目を見開いた。
「そ、そんな…あの子達の子供が…Aさん、あの子なのかい?」
そして、大粒の涙をぼろぼろ流して____
跪いて僕の足元で泣き崩れた。
Aside
「…っえぇ!?!!」
大声を出してスピーカーと私の顔を交互に見る中村。
降谷零…
すごい人だよ…
私たちはすぐに現場に到着、私の手で店長を取り押さえた。
「Aさん…すまない…」
それ以上店長は何も言わなかった。
「…降谷さん 」
取り押さえた店長を中村に引き渡し、降谷さんのもとへ行く。
「子供の頃と比べて、あまりに美人になっていてあの両親の子だと気づかなかったそうですよ」
…無理もない。私はあれから引き取り手がなく、施設で育ったからな…。そして犯人を必ず捕まえるために警察になった。
それを聞いて眉間に皺が寄る。
わかってたらこうやってラーメン笑顔で出さないか…。
「…やっと。やっとこの日が来ました…11年越しに…」
「えぇ」
「降谷さん…。ありがとうございます」
深々と頭を下げた。
「やめてください、顔をあげてくださいAさん。警察としての責任を全うしたまでです」
「…っ」
この日、私は両親を殺された東京都一家殺人事件において初めて人前で子供のように声を上げて泣いた。
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作者名:つくね | 作成日時:2023年6月18日 6時