ここはどこ?8 ページ9
ひとしきり新聞を隅々まで読んだが、聞いたことのない政治家や事件、女優ばかりで何一つ知っているものは記していなかった。
そうだ、公安警察に連絡しよう。
しかし目の前の彼女が組織と面識があれば全て水の泡だ。
どうする。
しばらく考え込んでいると、彼女が口を開いた。
『安室さん…?』
「はい?」
『安室さんの、知ってることをなんでも教えてください!何か私わかることがあるかもしれません!』
そう言ったので、先程同様沖野ヨーコは女優だとか、昔工藤由希子という女優がいたことや、米花町のことなどを話してみたが、彼女とは全て話が噛み合わなかった。
「…トリップ」
と呟いた。
彼女も目を丸くして『え!?あの、別世界から飛んでくるってやつですか!?』
とびっくりしている。
無理もない。現実味がなさすぎる。
しかし風見もいない、米花町すら存在しない、読売新聞、明石家さん○やタモ○、聞いたことのない話ばかりなのでトリップとなると辻褄が合う。
「そうですね…そうなりますね。」
『そんな…では向こうの世界では今頃、皆安室さんを探していらっしゃるのではないでしょうか?』
「そうなりますね」
『まあ…早く帰れたら…いいんですが、帰り方ご存知ですか?』
そうだな、そもそも僕はどうやってこの世界に来たんだろうか。
ふと窓を見るとどっぷり夜になっていた。
時計を見るともう21時だ。
僕はもう一度彼女にお礼を言い、帰ってもらった。
彼女は僕が心配だと、電話番号のメモを渡してくれた。
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作者名:つくね | 作成日時:2023年6月4日 20時