実家に行こう3 ページ46
「あなた、Aのどこを好きになったの?」
今度はお茶を置きながらお母さんが口を開いた。
零さんは、以前私に言ってくれたことをそのままお母さんにも伝えた。
「…だから好きになりました。」
お母さんをチラ見すると、口に手を当てて
「あらまあ」だなんて。ちょっと照れてる。
なんでお母さんが照れてんのよ。
「お母さん、合格」
お母さんは人差し指と親指で丸を作りそう言った。
『…へ?』
拍子抜けして肩の力が抜けた。
「あなたの中身をちゃんと見てくれて、ちゃんと考えてくれてる。」
(人が困ってると手を差し伸べてくれて、頑張り屋で。どんな時でも笑顔を絶やさない。そして可愛い)
「今まで、あなたの顔しか見てこなかった人ばかりだったじゃない?今回もこんな男前連れてきてお母さん心配だったけど、彼に任せて大丈夫そうね」
『お母さん…!』
零さんも安堵の表情。
よかった…と思ってたけどお父さんの顔は険しいまま。
「まだ許さんぞ!」
お…お父さん…汗
「警察だの手帳はないだの、胡散臭くてならん。出直してこい」
お父さんは席を立った。
『待ってよ!』
私も思わず立ち上がる。
すると、零さんは静かにこう言った。
「まなみさんの時のようにならないか寂しいんですよね」
「…なんだと?」
お父さんは零さんの胸ぐらを掴んだ。
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作者名:つくね | 作成日時:2023年6月4日 20時