強盗犯2 ページ29
その時サイレンが鳴った。
勢いよくドアが開く。
「警察だ!!!って、あ、あれ」
拳銃を持って警察が勢いよくカフェのドアを開けたが、もう男は身柄を確保されていて、拍子抜けしたようだった。
にっこり男を差し出す零さん。
「あとは任せました」
『(す、凄い…この余裕…ほんとに警察、なんだ…)』
警察は僕に事情聴取し、男が捕ったレジのお金は返され、すぐにサイレンを鳴らして男は連行されて行った。
パッとAさんを見るとその場にへたり込んでしまっていた。
「Aさん!?大丈夫か!?」
『ご、ごめん…こんなの初めてで…まだ心臓がドキドキしてる…』
「無理もない。立てるかい?」
『う、うん』
手を差し伸べてくれて私はカフェの裏へ移動した。
戻ってきたマスターは僕達に何度も謝った。
そして今日はもう店を終おうとcloseの札を立てた。
『っ…ごめん…、なんか安心して涙が』
「うん、怖かったね」
『っ…ひっ…ぐ』
僕の胸で泣きじゃくるAさん。
「無事でよかったよ」
僕もAさんの背中に手を回した。
「っ!?」
『?どうしたの?』
「あの時少し刃物が当たったのか…」
Aさんの首元には少しだけ、血が滲んでいた。
そう言って僕はAさんの首元を綺麗に消毒し、処置した。
『ありがと…全然気づかなかった…痛みより怖くて』
「そうだね。今日はもう帰ろうか、マスターも帰っていいって言ってくれてることだし、ゆっくりした方が良い」
『ん…』
そう言って、2人で家へ帰った。
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作者名:つくね | 作成日時:2023年6月4日 20時