【あな番】こんな世界に転生したので取り敢えず運命を変えてやります。【黒島沙和】

貴女が好きです。 ページ22

穂香ちゃんと恋バナをした次の日、私は沙和ちゃんの家に遊びに来た。

「ねぇ、沙和ちゃん」
「どうしたの？」
「私もね、昨日穂香ちゃんと恋バナしたの」
「へぇ…」

　気の所為かも知れないけれど、一瞬だけ沙和ちゃんの目線が泳いだような気がした。

「それで、沙和ちゃん。この前私に好きな人いるかって聞いたじゃない？」
「あ、うん、そ、そうだったね」
「それで私…考えたの。私、沙和ちゃんの事、好きだなって…」

　私は意を決してそう言った。
　すると、沙和ちゃんは驚きに目を見開く。

「え…」
「沙和ちゃんは私の事、友達としか思ってないかも知れない。同じ女の子からこんな事言われても、気持ち悪いかも知れない。だけど私は、沙和ちゃんが好きだって気付いたの。沙和ちゃんに恋人が出来た姿を想像したら、想像の中の彼にやきもち妬いちゃってて…私、沙和ちゃんの事が、そういう意味で好きだって思ったの。沙和ちゃんにももしかしたら、これから先好きな人が出来て、素敵な彼と出会えるかも知れない。沙和ちゃんには沙和ちゃんの幸せがある。だから私は、恋人にはなれなくてもいい…ただ、この気持ちだけ伝えたかったの」

　沙和ちゃんに恋人が出来たら…私は間違いなく嫉妬してしまうだろう。
　だけど、沙和ちゃんが幸せならばそれでいい。沙和ちゃんの幸せが一番だ。その為に私は、沙和ちゃんの傍にいるのだから。

「…何それ」
「…沙和ちゃん？」

　沙和ちゃんはすくっと立ち上がったかと思うと、何だか怒ったような、そんな表情をして私を見下ろしていた。

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