精神異常者 [第5人格]

回復 ページ31

背中のピリピリとした痛みがやがて収まってきた。
エ「善処は尽くしたけれど…どうしても傷跡が残っちゃったわ、ごめんなさいね…。」
私が外にいた時にもっとちゃんとしたことをしていられれば、なんて言葉を零すエミリーさん。
『別に背中なんて誰にも見られないですし…直してもらった時点でお礼を言いたいぐらいなのですが…。』
そんなことを呟くとペチ、とエミリーさんが私のおでこにデコピンをした。
エ「貴方ねぇ！！！もっと自分を大切にしなさいな！女の子の体はお宝なのよ！」
メッ、なんて言ってくるエミリーさん。
私の体が…宝物…？？？
いや。そんなはずはない。
だって、ママやパパたちの好きなものは人じゃないもの。
最初のママは強さが好きだった。
2番目のパパたちはお薬が好きだった。
3番目のママたちはお金が好きだった。
4番目のパパたちは……私のことを玩具(おもちゃ)と言っていたが…今でもその言葉の意味がわからない。
5番目の最後のママは………何が好きだったのかなぁ。
考えれば考えるほど訳わかんない。

リッパーside
『なんで私の体なんか(･･･)がお宝なんですか？』
ピクリ、と自身の眉が無意識的に動くのを感じた。
この子は先程から「私なんか」などの自身の価値を引き下げるような言葉遣いをする。
それはまるで…未亡人のような。
幼い彼女の言葉遣いに違和感を覚えていると、ジョーカーが彼女の方へノシノシと歩き出す。
やがて彼女の目の前立ったと思うとジョーカーが口を開いた。
ジ「あのなァ…。お前にとっちゃなんの変哲もねェただの体かもしれねぇがよォ…
……俺たちハンターからしたら大切で大事な獲物の体なんだよ！！！」
ジョーカーがAの両肩に手を置いてそう叫ぶように言う。
コイツ…こんなにサバイバーに感情的になるヤツだったか？
『……大切……だい、じ…………？』
Aは目を見開いてそれだけを復唱してジョーカーに再び確認をしていた。
もっと他に確認すべき単語があると思うのだが、彼女はその単語はどうでもいいようであった。
ジ「そうだ。お前は、ハンターから…つーかここにいる奴等全員からすると大切で大事なんだよ！！！」
ほぼ怒鳴るようにジョーカーは彼女にそう告げる。
彼女が怖がらないのが奇跡だな。
ジョーカーのその言葉を聞き、Aくんがこちらに視線を移す。
その視線には「本当に？」という疑問が隠れているように見えたので私は静かに頷いた。

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