誰にも惚れてない ページ48
翌日＿＿＿＿＿＿＿＿
今日はいづみちゃんがいない中で稽古だ。
『それじゃあ、今日は昨日の続きで一幕からーー』
一成｢あー、あのさ。
すみーのアクションシーンについて、ちょっといい？｣
『ん、どうぞ』
一成｢今回って旗揚げ公演だし、なるべく団員の個性を出した方がいいと思うんだよね｣
一成｢あいさつ代わりにって意味でも、魔人役のすみーには派手に動いてもらった方がいいと思う｣
天馬｢………｣
『なるほど…』
椋｢たしかに、旗揚げ公演っていうのは大事かも…｣
幸｢顔覚えてもらって、ファンになってもらわないといけないし｣
三角｢オレ、がんばる〜！｣
一成｢で、バランスについては他のシーンを調整すればいいんじゃないかな〜っと！｣
『どうかな、座長さん』
私はクルリと天馬の方を向いて微笑んで問いかけた。
天馬｢……そうだな。それならいいと思う｣
一成｢…！！｣
『じゃあ、その方向で考えようね』
天馬｢ちゃんと自分の意見言えるじゃないか｣
幸｢さっさと言えばいいのに｣
一成｢そだね！｣
『よし、それじゃあーー』
一成｢あ、ちょっと待って、Aちょん！！｣
『どうかしたの？』
一成｢惚れ直してくれた！？！？｣
『え……』
天馬｢は？｣
幸｢はああ？｣
椋｢ええっ！｣
三角｢ほれなおす〜？｣
『まず、惚れてないんだけど…？』
一成｢えええええ！？｣
幸｢Aがコミュ力高男に惚れるなんてありえない｣
天馬｢内心、びびってただろ｣
幸｢はああ？｣
椋｢ま、まぁまぁ…｣
一成｢え〜｣
三角｢Aは誰に惚れてたの〜？｣
『誰にも惚れてないよ』
背伸びして三角の頭を撫でた。
三角｢……そっか〜！｣
少し嬉しそうに、悲しそうに笑った三角。
一成｢絶対惚れさせるからねん！｣
『…そ、勝手にしてね』
リセットしないと。
気持ちを落ち着かせて＿＿＿＿＿＿＿
『それじゃあ、アクション入れるシーンから始めようか』
一成｢はいは〜い！｣
今日の稽古はいつもよりはかどった。
一成が色々意見を言ってくれるようになったおかげで、完成度が上がった気がする。
意外と論理的だから、参考になるんだよね……。
なんて考えていると談話室の扉が開いた。
『いづみちゃんおかえり……って、誰？ですか』
いづみ｢えーっと、この人は……｣
？｢あの、いつもお世話になっています。
私の、皇事務所の井川と申します｣
『皇、事務所……』
って、天馬の……！？
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作者名：ろい
| 作成日時：2018年6月30日 23時
