強い子の定義とは ページ44
夜、いづみちゃんは私の部屋を訪ねてきた。
『ごめんね、急に』
いづみ｢ううん、どうかしたの？｣
流石いづみちゃん、鋭いね。
『チラシ配ってた時にね、GOD座がいたんだ』
いづみ｢…！！
A………｣
『その時、私は何もできなかった。
ただ幸の後ろに隠れて椋と幸に助けてもらうだけだった』
いづみ｢………うん｣
『だから、しっかり向き合おうと思う。
この劇団に全組が揃ったら』
いづみ｢Aは強い子だね｣
『は…？』
最初、言われている意味が分からなかった。
だって唐突だから。
いづみ｢意地張って逃げてたAが今、こうやってMANKAIカンパニーに居るだけですごいと思う。
でも、ちゃんと向き合って頑張ろうって思えるんだもん。
それって……強い子、じゃない？｣
『定義がよく分からないんだけどね…？
まぁ、ありがとう』
雄三さんにも言われた。
だから、せめて自分だけで抱え込まずに……。
それをモットーにしていかないと。
いづみ｢なるべくチラシ配りはしなくていいよ？』
『うん、分かった』
いづみちゃんからの注意をうけて、私はそれに素直に頷いた。
『今日は本当にありがと、いづみちゃん』
いづみ｢ううん、監督だからね！｣
いづみちゃんを部屋まで送り
微睡む意識の中、私は眠りについた。
『公演まであと一週間だけど、千秋楽、まだ残ってるね……』
机上にあるチケットをみつめる。
幸｢一人10枚のチケットノルマって結構厳しいよね｣
三角｢いっぱいある〜｣
そう言う、幸と三角の手にはまだ沢山のチケットがあった。
『三角はあと何枚残ってるの？』
三角｢ん〜と、8枚！｣
幸｢結構残ってるね｣
椋｢三角さんは誰を誘ったんですか？｣
三角｢近所のおじいちゃんとおばあちゃん〜｣
幸｢年齢層高いな｣
一成｢オレ、全部なくなっちゃったから、ゆっきーとすみーの手伝うよん！｣
椋｢全部！？もうなくなったの！？｣
『早いね…』
私だったら一生無理だな…なんて思いながら少し遠い目をする。
一成｢トモダチいっぱい呼んじゃった！｣
幸｢さすがコミュ力高男｣
椋｢カズくんはトモダチ多いよね｣
幸｢椋は？｣
椋｢あと3枚｣
一成｢結構はけてるじゃん｣
椋｢Aさんに言われたように、陸上部の子たちを誘ったんです。みんな、来てくれるって｣
『そっか、良かったね』
椋｢はい！｣
そして幸は今までずっと喋っていない人物に目を向けた。
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作者名：ろい
| 作成日時：2018年6月30日 23時
