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嫌だとか言ってられない ページ20

『天馬なりに、リーダーとしてみんなのことをちゃんと見てること知ってる』

『厳しい言葉だって、それぞれの役者の特性を理解してないと言えない』

『今日の稽古では、具体的にわかりやすく指摘してた。みんな、天馬の言ったこと素直に聞いてた』

『天馬のおかげで、少しずつだけど役の理解も深まったし、芝居が良くなった…って思わない?』

天馬「なんで……なんで泣いてんだよ」

『っ………』


私の目は涙で潤んでいた。
慌てて、目を手で拭おうとしたらそれは阻まれた。


天馬「勢いよく擦ったりしたら、目が赤くなるだろ」


優しく目元を拭われた。


『……どうして、こんなに悲しいのかな』

天馬「…おまえ」

『っ………』

天馬「あーもう、泣くなよ。あいつらに勘違いされるだろ」

『天馬が私を泣かしたって?』

天馬「分かってんなら泣くな」

『そうだね』

『ねぇ、天馬』

天馬「…なんだよ」

『ありがと』

天馬「別に…」


天馬は顔を逸らした。
普通に見えるけど、見えている耳は真っ赤だ。


『…照れてる?』

天馬「照れてねぇ!」

『ふーん…』

天馬「………」


言い方はすごくぶっきらぼうで素直じゃないけど…。


『やっぱり…』

天馬「なんだよ?」

『やっぱり天馬をリーダーにしてよかったなぁって実感してたところ』

天馬「ちっ」

『明日はちゃんとみんなに謝って』

『それで今まで通りみんなの欠点は指摘して、それと同じくらいできたことに対して褒めてあげて』

『天馬は役者としてみんなの大先輩なんだから、
それくらいできるでしょ?』

天馬「誰に向かって言ってんだよ」

天馬「…オレはいつか、世界各国の主演男優賞を総ナメにする男だぞ。演技指導なんて余裕だ」

『あはは、それもそうだね。
…私にだってプライドがあるから、負けないようにね?』

天馬「笑うところじゃない!……当たり前だろ、オレは負けないぞ」

『ま、頼りにしてるよ。リーダー』

天馬「しょうがないな」


天馬は満更でもない顔だ。そのせいか、少しだけ口元が緩んでいる。


『私も、成長しないと』


小さく、天馬に聞こえないように呟いた。


天馬「何か言ったか?」

『なにも?』


首を傾けてはぐらかし、笑う。
いつまでも嫌だとか言ってられない。いつかは直面しないといけないんだから。

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作者名:ろい | 作成日時:2018年6月30日 23時

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