酸化した舞台から飛び降ります。【A3!】

早くも一弾触発？ ページ10

？｢やっぱボロいな、この劇場……｣

いづみ｢キミもオーディション参加希望？｣

？｢そうだけど、アンタは？｣

いづみ｢監督兼主宰の立花です。よろしくね｣

？｢ふうん、ずいぶんと若いんだな｣

『………』


妙に貫禄があるっていうか……偉そう。


いづみ｢じゃあ、ここに並んでくれるかな。名前は？｣

？｢ーー皇天馬｣


あぁ、だから。見たことがあるって思ったのは…。


いづみ｢！？｣


いづみちゃんは気づいてなかったみたいだし…。


咲也｢オレ、この人、テレビで見たことあります！｣

一成｢超有名じゃん！スッゲー！｣

幸｢皇天馬って、俳優だっけ｣

『子役から始めて、高校生にして芸歴十五年の実力派俳優だね』

幸｢ふーん｣


聞いた割には興味を示さない幸に少し疑問を思いながらも、皇天馬さんの方へと目を向けた。


天馬｢……オレのこと知らないとか、どこの田舎もんだよ｣

幸｢はあ？｣

『ま、まあまあ…』

一成｢テンテン、サインちょうだい！｣

天馬｢……テンテン？サインは別にいいけど｣


こんな有名人が、オーディションに来るなんて思わなかった…。
でも、どうしてこの劇場のオーディションに？

疑問が募りながらも、いづみちゃんの話を聞く。


いづみ｢それじゃあ、今からオーディションを始めるね。まずは名前と演劇の経験を一人ずつ言ってくれるかな｣

天馬｢ちょっと、待て｣

『…？』


皇天馬さんは、私の方を向いてこう言った。


天馬｢アンタは誰だ？団員、ではなさそうだし｣

『…この劇場の演技指導兼助監督をしている、花園Aです』

天馬｢お前が演技指導兼助監督？まだ高校生だろ？
実力はあるのか？｣

『………』


この人、言い難い質問してこないでくれるかな…。


いづみ｢Aちゃんは、実力をしっかりと兼ね備えてるよ！｣

天馬｢じゃあ、アンタもオーディションに参加しろよ｣


実を言うと、私は一度もいづみちゃん以外の人の前で演技をした事がない。
……なるべく、したくないんだよね。多少のリスクはあるけど、しょうがない。


『…………分かり、ました』

いづみ｢…！！｣


いづみちゃんからの痛い視線がグサグサと刺さってくるけど、今は気にしないでおこう。


幸｢…瑠璃川幸、中3。演劇経験はなし｣

天馬｢オレより年下かよ｣

幸｢だから？｣

天馬｢礼儀がなってねえ｣

幸｢はああ？｣


早くも一弾触発？

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